【主張】改革が前進した通常国会

2015.10.05 【社説】

 第189回通常国会が閉幕した。予想どおり安全保障法制を軸とした審議運営となり、これが戦後最長95日間の延長につながった。労働関係法案は、この会期延長の下で審議が進み、労働者派遣法改正案、同一労働同一賃金法案、青少年雇用推進法案、女性活躍推進法案がいずれも成立に至った。

 低落傾向にある内閣支持率をも顧みない強引な採決の場面もあり、必要な法案は必ず成立させるという官邸の強い決意が一貫して感じられた。一部の国民やマスコミの強力な反対を押し切るには相当なエネルギーが必要だったろう。労働関係法案にとっても事情は変わらない。労働改革において、近年にない大きな前進が図られ、有意義な国会と振り返ることができる。

 とくに、与野党対立法案だった派遣法改正案は、最後まで野党の反対が続いて成立が大幅に遅れた結果、「労働契約申込みみなし制度」の施行日の前日施行という離れ業となった。しかし、より分かりやすい派遣制度への移行と全面許可制による労働者保護強化は三者構成審議会の意思でもあったはずで、ようやく成就したという印象である。

 派遣法改正案を審議した参議院厚生労働委員会では、最終盤の9月8日午後に至って、当初予定していなかった審議を強引に開催し、引き延ばしにかかった野党を数で押し切って可決したという経緯があり、与党の決意を象徴する出来事だった。

 女性活躍推進法と青少年雇用促進法は、主に努力義務規定に留まる内容とはいえ、全員参加型社会の形成に向けて一つのハズミとなろう。青少年雇用促進法で新設したハローワークにおける「ブラック企業」への人材紹介制限も特筆すべきでものである。

 気になるのは、継続審議となった労働基準法改正案と技能実習適正化法案の2つである。両法案ともに平成28年3~4月が施行予定日であり、今秋の臨時国会に持ち越しても間に合う。ただ、労基法改正案は、今回の派遣法改正を上回る反対が予想され、短期間の臨時国会で成立するかは不透明だ。再び持久戦突入を考えていた方がいい。

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掲載 : 労働新聞 平成27年10月5日第3035号2面

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