【ひのみやぐら】高齢化で腰痛予防を優先的に
厚生労働省が設立した「従業員の幸せのためのSAFEコンソーシアム」のシンポジウムが3月7日、東京都内で開かれた。業種を超えて安全衛生事例の水平展開が行われたが、焦点となったのは転倒災害の防止と腰痛予防対策だ。
近年、社会の進展とともに働く人の高齢化が著しいことから、早急な対策が求められる。先ごろ定められた第14次労働災害防止計画でも、転倒災害と腰痛予防対策は重点事項のひとつに掲げられており、安全衛生活動の一丁目一番地となっている。
高年齢労働者の腰痛予防対策については、本年2月1日号の別冊付録で、一般社団法人労務安全監査センターの東内一明代表理事に執筆をお願いしているので、電子版などを活用して改めて一読をお薦めしたい。
腰痛は経験した人なら、ご理解いただけるだろうが、筆舌に尽くし難い激痛を伴う。高齢者は筋力が低下しており、さらに加齢による関節の変容、骨粗しょう症などが加わり、リスクが高くなる。別冊付録では、実際に現場に導入することができる腰痛予防対策を示しているので、ぜひ、参考にしてほしい。
具体的対策の一例を挙げると、重量物を持ち上げる作業は機械を使うよう指示している。高齢者の腰痛を防ぐには、腰に負担がかかるような作業をさせなければよい。最近では、さまざまな機械、設備が販売されており、フォークリフトをコンパクト化したような手動リフターは、油圧で荷が上下し、使い勝手がよい。
コストの問題で機械の導入が難しいならば、作業を見直してみる必要がある。腰のひねりは、大きな負担になる。製造業の作業現場では、ベルトコンベヤーや作業者の立ち位置を変えることで腰に負担のかかる作業をなくすことができるとしている。
また、製造ラインでは作業台が高すぎたり、低くてもよくない。リスクアセスメントにより、適正な作業姿勢を検討し、改善を図るよう求めている。
腰痛は国民病とも呼ばれ、多くの人が経験している疾患だ。働く人が幸せになる職場環境づくりは、腰痛予防対策から始まるといってもよいだろう。