【ひのみやぐら】本格的に〝安全帯新時代〟へ

2021.11.26 【社説】
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 旧規格の安全帯使用が来年1月1日までとなり、新規格の墜落制止用器具の着用義務が始まる。いよいよ本格的に〝安全帯新時代〟の幕開けとなるわけだが、移行に備えての準備はできているだろうか。個人的にも安全帯については長年にわたり、動向を追ってきただけに、移行に際しては感慨深いものがある。

 安全帯の原則フルハーネス化の議論が本格化したのが2016年。厚生労働省が「墜落防止用の個人保護具に関する規制のあり方に関する検討会」を立ち上げたのがきっかけだ。それ以前にも、フルハーネス型安全帯は建設工事現場で鉄骨工・鳶工などの専門工事業者が使用していたが、決して一般的に普及していたとはいえなかった。「装着に手間がかかりそう」などの意見もあったが、最もネックとなっていたのが値段だ。メーカーなどによってさまざまだが、胴ベルト型安全帯に比べ数倍の価格だった。

 建設業労働災害防止協会では安全帯の使用実態について事前に調査を行っていたが「手ごろな値段にしてほしい」という要望が多くみられた。「胴ベルト型に比べて落下時の人体へのダメージが軽減される」「救出されるまでの間、無理なつり下げ姿勢にならない」といったフルハーネス型の優位性は認識されていたが、「高くて手がでない」というのが本音だったようだ。第1回の検討会では、一部の関係団体からコスト面で懸念の声が上がっていた。

 一方で、フルハーネス化への方向性が決まっていくと、関係者の動きが一気に加速した。労働局や労働基準監督署、災防団体では、フルハーネス型安全帯の説明会を開くなど精力的にPRを行った。メーカーサイドも本腰を入れて開発に力を入れ、良質の製品を製造するようになる。大量に作れば、コストが下がるのはいうまでもない。補助金制度も始まるなど、必要な購入者には追い風となった。次第に価格面での懸念は払拭されていった。現在、手ごろなものでは1万数千円と購入しやすくなっている。

 人の命は何より尊い。新規格義務化は、人命を第一に考える関係者のたゆまぬ努力でなしえたといってよい。

2021年12月1日第2391号 掲載

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