【本棚を探索 スペシャルゲスト選集(2022年上半期)】『いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん』『日本人の承認欲求 テレワークがさらした深層』『鉄から読む日本の歴史』ほか

2022.08.21 【書評】
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労働新聞で好評連載中の書評欄『本棚を探索』から、2022年の上半期に公開したスペシャルゲストの方々のコラムをまとめてご紹介します。

『御鑓拝借 酔いどれ小籐次留書(一)』佐伯 泰英 著
59歳の落語家で、古典落語は全くやらず、もっぱら自分で一から噺を作る「創作落語」のみを高座にかけている。普通、書評というのは『この本を読んで書いてください』と依頼が来るものだが、今回は「お好きな本を書評してください」と嬉しい依頼。夜はテレビをまったく観ず、ライトノベルからハードボイルド、時代物までありとあらゆる分野の本を読んでいる。この新聞をご覧の読者さんには、同年代の方々が多いはず。なので私の愛読書『酔いどれ小籐次留書』シリーズから、第1作目の『御鑓拝借』を紹介したい。
選者:落語家・三遊亭 白鳥師匠

佐伯泰英著、文春文庫刊、税込792円


『若手育成の教科書 サイバーエージェント式 人が育つ「選抜メソッド」』曽山 哲人著
若手が育たない、そんな想いを抱えている経営者、人事担当者は多いだろう。さらにコロナ禍において、新人教育がより一層難しくなっているとの現実がある。そんな方々にご参照頂きたいのが本書である。どの企業も「若手が育たない問題」で悩んでいるが、同書によれば、若手育成において一番大切なのは自信を持たせることで、「成長したい=自信が欲しい」ということである。
選者:弁護士・倉重 公太朗さん

曽山哲人著、ダイヤモンド社刊、1760円税込


『プロ野球と鉄道 新幹線開業で大きく変わったプロ野球』田中 正恭 著
野球好き漫画家を長くやっていると、さまざまな野球ファンの方と交流する機会がある。そこで気付いたのは「野球ファン兼鉄道ファン」がすごく多いという事実だ。男性中心だが一部女性もいる。会話にふと出た鉄道の話題がいちいち盛り上がることで発見した。かくいう自分も幼少期からの鉄道好きで、野球好きだ。出身は大阪で、子供のころは近所を走る京阪電鉄が球団を保有していないことが心底残念だった。
選者:漫画家・カネシゲタカシさん

田中正恭著、交通新聞社刊、880円税込


『いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん』今井 真実 著
現代社会で働く人は、とにかく忙しい。仕事が終わったら休めるかというとそんなことはなく、家の仕事が待っている。料理、洗濯、掃除、子どもがいるとさらに宿題の面倒をみたり習い事の送り迎えがあったり。目の前のことに必死で生きていると、季節すらも気付かぬうちに過ぎ去っているのではないだろうか。料理家であり2児の母でもある今井真実さんは、本書の中で「全てが100点なんて無理で、毎日やっとやっとで生活している」と綴る。
選者:世界の台所探検家・岡根谷 実里さん

今井 真実 著、左右社刊、1870円税込


『日本人の承認欲求 テレワークがさらした深層』太田 肇 著
同志社大学の太田肇教授が一連の著書で述べてきた日本人の承認欲求に関する集大成ともいうべき一冊だ。コロナ禍のテレワークという、従来は想像もできなかった状況における日本人の反応で、承認欲求の深層がいみじくもさらけだされた。本書は、その深層を克明に描き、分かりにくい承認欲求への解像度を飛躍的に高めている。承認欲求とは、人から認められたいという基本的な欲求のひとつだとされる。
選者:法政大学大学院教授・石山 恒貴さん

太田 肇 著、新潮新書刊、836円税込


『鉄から読む日本の歴史』窪田 蔵郎 著
近年は、やけに隕石のニュースを目にする。これは地球上に落下する物体が増えたわけではない。SNSの普及によって情報が激増しただけのことである。水星と木星の間に群れを成して浮遊する小惑星の欠片は、年平均2000個ほどが我われの足元に落下する。人類が鉄というものを知ったのは、まず、この隕石によってであろう、と研究家たちは考えている。
選者:歴史・時代小説家・東郷 隆さん

窪田蔵郎著、講談社学術文庫刊、1177円

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