【主張】懸念される国力格差拡大

2021.12.02 【主張】
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 アメリカ経済が急速に回復している。10月の消費者物価は前年同月比6.2%上昇し、31年振りの高い成長を遂げている。賃金上昇率も実質で5%を超えてきている。これに対して、日本の実態は惨憺たるものだ。両国間の経済格差はさらに大きく拡大し、日本の世界的地位はますますの後退を覚悟しなければならない。政府は、アメリカが進めてきたコロナ後の経済対策を直視し、基本的方針を改めて欲しい。

 報道では、アメリカ経済は、目標とする2%程度の物価上昇率を大幅に上回る5%台の伸びが5カ月続いており、10月はさらに上昇率が拡大した。賃金上昇率も今年前期の2%台から急回復し5%台に達している。一方で、日本の物価上昇率は0.2%、生鮮食品およびエネルギーを除くとマイナスになってしまう。もちろん賃金上昇も横ばいか減少傾向にある。

 日本は、新型コロナウイルス感染症の社会的ダメージが相対的に小規模に抑えられたのに対し、アメリカは多くの感染者を出している。アメリカの累計感染者は約4700万人、死者数は約76万人である。コロナ後における舵取りを間違わなければ、日本は世界をリードできる立場にあったはずである。

 両国の差はどこにあるのか…。大きくは経済対策の違いにある。アメリカでは、合計で6.4兆ドル(約730兆円)の財政出動をめざしており、国内総生産(GDP)比の約3割に達している。国民への現金給付はすでに3回に及び、総額8500億ドル(96兆円)を超えた。これほどの大規模対策を躊躇なく実行に移している。

 一方、日本の状況は、財政プライマリーバランスの呪縛から逃れられず、国民への現金給付はいま一歩といえる。将来世代に「負債を先送りするな」という前に、現世代の困窮状態の改善、インフラの整備が先決である。今の困窮状態を引き継がれても決してうれしくないだろう。

 アメリカの断続的で大規模なコロナ対応の救国経済政策を見習って、国民生活の下支えとデフレ脱却をさらに推し進めてして欲しい。

令和3年12月13日第3332号2面 掲載

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