【主張】“雇用シェア”の積極化を

2021.02.18 【社説】
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 新型コロナウイルス感染症の拡大で、「雇用シェアリング」が注目されている。要するに従来からの「在籍型出向」をいま風に言い換えているだけだが、従業員の雇用や労働条件はしっかり守られる可能性が高く、企業規模を問わず広く活用を勧めたい。

 コロナ禍で事業縮小が余儀なくされた企業の従業員を、人手不足の企業に一時的に送り出す極めて合理的な人材活用といえるものの、問題はマッチングである。今回、厚生労働省所管の産業雇用安定センターが乗り出し、より広域的なマッチングに期待が高まっている。賃金や初期費用などに対する助成金付きで、この機会に利用すべきだ。

 最も評価すべき点は、従業員の保護がより厚いことである。従業員は出向元企業との労働契約関係を維持しながら、出向先企業に労務提供するもので、コロナ禍の厳しい状況にあっても雇用自体は維持される可能性が高い。

 従業員は出向先企業の勤務規定や服務規律に従い、指揮命令下に入る。いわば、二重の労働契約が締結される形である。賃金は、基本的に出向先企業が支払うが、労働条件が下がらないよう出向元企業が補填、補償するのが通例である。判例では、従業員の個別同意は必要なく、事前の包括的同意で良いとされている。出向規定は定めておく必要がある。

 ただし、出向といっても「移籍型出向」はハードルが高い。従業員との労働契約を解消し、全く別の企業に籍を移すことになり、当然、労働者の個別同意がないと無理と考えて良く、「雇用シェアリング」とは別物である。

 本紙報道では、京都府が労使と一体となってモデル事業を展開しているという(2月1日号4面既報)。いずれのケースも出向元企業が通常賃金を支払い、出向先企業から労務提供を受けた分に見合った「負担金」を受け取っているという。代表的な例では、京都市内ホテルから北部の旅館へ20人が出向した。

 人間の「シェアリング」とは、表現にいささか抵抗があるが、実態は従来から認められていたものだ。適正な手続きを経て活用して欲しい。

令和3年2月22日第3294号2面 掲載

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