【主張】BCPの必要性を再確認

2022.02.24 【主張】
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 感染力が格段に高い新型コロナウイルスのオミクロン株拡大で、俄然BCP(事業継続計画)の重要性が強まっている。BCP作成は、大手企業では一般化しているが、中小企業での認知度、広がりは今一歩といえよう。毎日数万人の新規感染者の発生が続き、多くの中小企業で人手不足が深刻化している。自然災害なども視野にBCPの取組み開始を勧めたい。

 本紙が令和3年後半に連載した「パンデミック、大災害に対処―BCP策定講座」(執筆・丸谷浩明東北大学教授)において指摘していたとおりの状況が始まった。連載では、感染症拡大で操業度が低下する最大の要因として、「人的資源の不足」を挙げていた。

 対策として、社員とその家族の職場、通勤途上、自宅での感染予防対策の徹底はもとより、従業員が不在となっても業務を続けられる体制を前もって整備しておくことが求められる。端的にいえば、担当者にしかできない業務をできるだけ縮小し、代行可能なシステムを用意しておく。代行者向けの作業マニュアルの作成、相互に別の仕事を覚えるクロストレーニングなどを採り入れ、普段から準備する必要がある。

 オミクロン株で、毎日数万人規模の感染者が発生していれば、徐々に従業員の欠勤が増加し、人手不足に陥る可能性が高まるのは明らかだ。危機感を強めた政府・経済産業省も今年1月に入って、経済団体に「コロナ禍における事業継続に向けた取組の強化について」と銘打った要請文を送付した。

 オミクロン株により事業継続に課題を抱える事業者が増加していることから、「わが国の安定的な国民生活と経済活動をしっかりと維持するためには、事業者の皆様の事業継続に向けた取組みの強化が不可欠です」と強調している。

 BCPの考え方、作成方法などは、中小企業庁や東京都中小企業振興公社などのホームページで分かるようになっている。民間調査機関によると、東日本大震災をはじめ多くの自然災害に見舞われているわが国企業だが、BCP作成率は2割に満たない低水準にあるのが実態という。

令和4年2月28日第3342号2面 掲載

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