【主張】ハードル高い副業の推進

2020.02.06 【社説】
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 厚生労働省が進めている副業・兼業の労働時間管理のあり方に関する検討が大詰めの段階に入ったものの、最終的な結論が定まらない状況に陥っている。労働時間の通算と把握を厳密に実施するためには、一定の規制強化が必要だが、労使に煩雑な手続きを課してしまうと、本来の目的である副業・兼業の奨励・拡大とは相容れない結果を招きかねない。煩雑な手続きを回避するため、偽装委託などを助長しかねない懸念もある。

 通算労働時間の把握は、労働者からの自己申告に基づく外はないが、仮に正確な把握に基づかなくても刑事責任を問わない特例的な扱いとすべきである。

 政府は、2018年6月の未来投資会議で、「副業・兼業を通じたキャリア形成を促進するため、実効性のある労働時間管理等の在り方」を検討し、速やかに結論を得るよう求めている。この要請から1年半以上が経過し、現在、審議会での議論に移っているものの、厚労省ではさらに検討が必要としている。

 「速やかな結論」を阻んでいるのが、副業・兼業に対する規制強化と奨励・拡大との間のジレンマである。

 労働基準法第38条では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」としているが、他の企業で働く労働者の労働時間数を把握するのは困難といえる。労働者からの自己申告に頼るか、他の企業から時間数を聴取する外はないが、正確性を欠くのは明らかだ。

 正確性を重視して厳格な手続きを課すと、本来の目的である副業・兼業の奨励・拡大に逆行することになる。煩雑な手続きを嫌がって雇用を回避すれば、偽装委託などが広がってしまう懸念もある。労働者の中には、雇用されている企業に知られないよう副業しているケースも多く、これも認めなければならない。

 しかし、通算労働時間の把握と労働者の健康管理を完全に放棄することはできない。事業主の異なる副業・兼業に限って労働時間通算義務を緩和し、刑事責任まで問わない例外的な仕組みとすれば、奨励・拡大優先となり得る。

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令和2年2月10日第3244号2面 掲載

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