【ひのみやぐら】「宝の持ち腐れ」では?

2019.08.27 【社説】
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 厚生労働省を舞台に「高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」が8月5日にスタートした。「人生100年時代に向けた~」と会議名の頭にあるように、「生涯現役社会」が否応なく現実味を増してきたようにみえる。

 外国人頼みも情けないし、〝働きたい人〟が働き続けられる社会という政府の方針はうなずける。しかしながら、心の奥底から湧き上がる思いで就労継続を希望する人っていうのは一体どれくらいいるのか。今回の初回会合でも同様の思いが背景にあるとみられる発言があったようで、「高年齢労働者」と一括りにすることで取るべき対策が見落とされたりしないかやや心配だ。

 「年をとってもバリバリ働く元気な人」と、逆に嫌々と言ったら語弊があるが、経済的事情をもとに「やむを得ず」働き続けなければならないいわゆる〝普通の高齢者〟を念頭に置くのとでは、議論の終着点が違ってきやしないか。

 年末に一定の結論を得て作る「ガイドライン」に沿ってハード(設備や装置)・ソフト(高齢者が行う業務管理等)の両面対策につなぐ考えのようだが、「いつか来た道」の感が拭えない。間違ってもデジャビュなどではなく、何か新しい対策が導かれる期待を持ちにくいのだ。

 これまでにも高齢者に配慮した職場環境づくりを支援するチェックリスト付きマニュアルが作られたことがあるが、今ほど対策の必要性が言われていなかったせいか、それを使って効果を上げた企業が続々と現れたという話は寡聞にして聞かない。昨年6月には「エイジアクション100」と銘打つ質・量とも充実した内容の冊子(職場改善ツール)が作られたばかりでもある。まずはそれら成果物を「宝の持ち腐れ」とせず、いかに企業の現場に具体的に落とし込んでいけるかが問われているのではなかろうか。

 高齢者の転倒防止に気を使えるほど暇じゃない、と思われる経営者がいるのも知っているが、ここはひとつ、時代の要請と受け止めるしかなさそうである。今どきPCやスマホで関連情報は容易に手に入る状況でもあり、既存資料は結構豊富だ。本気でやる気があるならば言い訳しにくい状況でもある。

2019年9月1日第2337号 掲載

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