【ひのみやぐら】危険行為はなぜ繰り返す?

2016.10.01 【社説】

 すでにご存知のことと思うが、スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」で交通死亡事故が起きている。このゲームは米国で先行して配信され、熱中してしまうあまり、さまざまなトラブルが起きているとニュース番組で報道された。日本で配信が始まった際も、事前に関係機関から注意するよう呼び掛けられていたはずだ。それにもかかわらず、死亡という最悪の事態を招いてしまった。

 歩きスマホは、当然危険な行為である。事故を起こしてしまった運転者が、歩きスマホより運転しながらのスマホを、さらに危険な行為と想像できなかったとは思えない。これだけ危険と警鐘されていて、なぜ、スマホを操作してしまったのだろうか。さらに、さして時を置かずして2件目の交通死亡事故が発生した。事故が起きたばかりというのに、なぜ、危険行為は繰り返されてしまうのか。

 労働災害も、同じようなことがいえる。「機械を停止させず、運転中にもかかわらず、手を入れてしまう」「低い位置だからといって、ハシゴや脚立を使わず飛び降りてケガをする」といった従来型の災害が後を絶たない。ときには、安全教育を実施したとしても、災害が起きてしまう。

 今号より「事故防止 人の問題を考える」と題し、労働安全衛生総合研究所リスク管理研究センターの高木元也センター長にヒューマンエラーなどをテーマとした連載がスタートする。高木センター長は「『なぜこれをしなかったのか』『なぜこれをしてしまったのか』そう言って後悔するものが余りにも多い」と指摘する。確かに、ポケモンGOの交通死亡事故にせよ、労働災害にせよ「なぜこれをしてしまったのか」と疑問を感じる労働災害が少なくない。

 次いで「いくら後悔しても、その事故が起きる前に時間を戻すことはできません」とつづっている。死亡となっては、人は生き返ることはできない。時計の針は元には戻せない。そこには、残された遺族の悲しみ、悔しさがある。本人も無念であったに違いない。

 この連載では、不安全行動や事故の起きるメカニズムを掘り下げて考えていく。後悔を繰り返さないためにも。

掲載 : 安全スタッフ 平成28年10月1日第2267号

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