【主張】文科省が非正規就職に関心示す

2012.09.17 【主張】
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 文部科学省がまとめた「平成24年度学校基本調査」に興味深い数値が公表された。初めて試みたものだが、大卒者55万9030人のうち3.9%に当たる2万1990人も「正規の職員でない者」がおり、これに「一時的な仕事に就いた者」1万9596人(3.5%)と「進学も就職もしていない者」8万6638人(15.5%)を加えると約12万8000人となり、実に22.9%が不安定な状態に置かれている。

 15~64歳までを生産人口というが、05年をピークに減少に転じ、外国人労働者の受入れが真剣に議論されているにもかかわらず、最高学府を修了した者のうち8万7000人弱が、進学も就職もしていないのは、社会の責任か卒業者個人の問題か、真剣に討議する必要があろう。

 大学・短大進学率はこのところ過半数を維持し、今年度の調査でも53.6%を示している。勉学に勤しむのか青春を謳歌したいがためなのか定かではないが、これでは親御さんはたまったものではあるまい。ただし、正規の職員でない者の2万1990人は、就職活動が成就せず、やむなくこの道を歩んでいると推測され、これは同情を禁じ得ない。残る面々は死語になった「パラサイトシングル(卒業後も親元に寄生している者)」状態を脱し、日本経済が直面している人材不足に寄与してほしいところだ。

 一方、民間研究機関のリクルートワークス研究所が、今年4月末に発表した「13年3月卒就職予定者の大卒求人倍率」は1.27倍を示し、昨年同時点(1.23倍)に比べ、微増している。これに対し、民間企業就職希望者は、このところ大企業から中小企業に目標が転じており、同時点では1000人未満がプラス1.4%であったのに対し、1000人以上はマイナス9.9%とかなりの開きを示している。求人数が前者に比べ、後者は半分以下と直に比較するのはムリが多いものの、学生に「ないものねだり」の傾向を脱しようとする機運が醸成してきたのは買える。初めて行政が正規と非正規を分けて調査したのも、問題意識が浸透したとみてよさそう。

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平成24年9月17日第2889号2面 掲載

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