【主張】指標好転の機会を逃すな

2016.10.10 【社説】
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 厚生労働省の平成29年度予算概算要求が発表された。「最大のチャレンジ」とした働き方改革と生産性向上に力を投入している。なかでも、同一労働同一賃金対策の推進などによる非正規労働者の賃金・待遇改善の実現は、今後の日本経済の先行きを決定付けるほどの重要な課題である。労働経済指標が上向き始めた好機を逃さず、スピード感をもって確実に改革成果を出してもらいたい。

 日本経済が長期停滞している最大の要因は、非正規労働者の急増にあることは明らかだ。賃金をはじめその他の待遇水準全般が低位に留まり続けた結果、国民消費全体が減退し、経済規模の伸び悩みにつながった。経済の好循環を達成するには、正規労働者を拡大させるとともに、非正規労働者の賃金水準を引き上げる外はない。

 労働経済指標をみると、今がこうした非正規労働対策に本腰を入れる絶好のスタート時点に立っている。まずは失業率である。総務省によると、今年7月の完全失業率3.0%となり、2%台目前まで迫った。失業率の低下がほぼ限界水準まで到達しているとみられ、賃金水準が上方転換する直前の状況と推測できる。

 実際にも実質賃金の上昇傾向がはっきりしてきた。厚労省によると、今年2月に前年同月比0.3%の上昇となったあと、3月に1.6%、6月に2.0%、7月に1.8%の上昇となっている。消費者物価水準との関係もあるが、今後も上昇トレンドが続くものとみられている。

 非正規労働対策の成否は、こうした経済の実態を表す指標の好転が前提となる。並行して、予算概算要求で明らかとなった非正規労働対策の各種事業を、躊躇なく確実に前進させることが求められる。

 高度プロフェッショナル制度の創設や使用者による年次有給休暇時季指定の義務化など画期的内容を含む労働基準法改正案を確実に成立させること、また解雇の金銭救済に関する検討を終わらせ早期に制度創設を図ることも忘れてはいけない。働き方改革は、この機を逃して先送りすることはできない。

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平成28年10月10日第3083号2面 掲載

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