【主張】パートの社保拡大回避を

2019.04.11 【社説】
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 厚生労働省は、パートタイム労働者に対する被用者保険の適用要件見直しについて検討を始めた。人口減少が急速に進むなか、一般論としてはできる限り多くの労働者に適用して保険料を徴収していくことが要請されるが、経済事情を十分考慮し、中小規模企業にダメージを与えないよう細心の注意が必要である。国による負担分の一部肩代わりなども考えられるが、現状では長期的視野に立った無理のない段階的見直しを選択すべきである。

 従来、被用者保険の適用対象は、基本的に週労働30時間以上のほぼフルタイムであったが、2016年10月に従業員501人以上の企業で、週労働20時間以上、月収8.8万円以上の要件を満たすパートタイム労働者に拡大した。今回見直しが行われるとすれば、従業員500人以下の企業の取扱いなどが焦点となりそうだ。

 しかし、パートタイム労働者を多く雇用する複数の業界からは強い反対意見が出ている。ビルメンテナンス業界を例にとると、業界企業の総意として、「適用拡大に向けては待ったをかけたい」と訴えた。仮に適用拡大するにしても、作業の発注者側との連携・協力が必要という。

 また、既に雇用しているパートタイム労働者に、新たに厚生年金などの適用で一定の費用がかかると説明すると、5人に3人程度は辞めていくと推測している。深刻な人手不足の状況にあって、経営自体の継続性にも支障が生じかねない。厳しい事情は、外食産業やチェーンストア業界、惣菜業などでも変わらない。

 4月からスタートした特定技能外国人の雇用については懐疑的である。賃金、賞与に加え渡航費、住居費、教育コストなどが掛かり、1人の外国人を受け入れるには、相当な覚悟が必要とみている。

 日本経済は、デフレから脱却できないばかりか、再び減速局面へと転換しようとしている。中小規模の労使双方に各種負担を強いる被用者保険の拡大条件は整っていないといえよう。地方企業の活力の妨げになったら元も子もない。今回については、大幅見直しを避けてもらいたい。

平成31年4月15日第3205号2面 掲載

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