フレックス休日への取り組みについて/弁護士 中野 厚徳

2016.06.19 【弁護士による労務エッセー】
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1.フレックス休日

 フレックス休日あるいはフレックスデイという言葉を聞いたことがあるでしょうか。フレックスタイム制度は、就業日の始業と終業の時刻を労働者の自由な決定に委ねる制度ですが、フレックス休日(デイ)制度はどの日に就業するかを労働者の意思に任せる制度です。勤務日の設定、裏返せば休日の設定を労働者に委ねる制度ということになります。

 もちろん、何の制約もなくフレックス休日を導入することは労働基準法との関係や企業秩序の面からも現実的ではありませんので、後述するとおり一定のルール設定は必須です。

 私は、現在、ある中小企業でフレックス休日(デイ)の導入に向けて制度改革に取り組んでいるところです。以下、その取り組みについて少しご紹介したいと思います。

2.フレックス休日(デイ)導入の背景

 この会社(以下「X社」といいます。)は従業員30人くらいの会社ですが、社員の多くが一級建築士などの資格を有しており、注文住宅の設計等に取り組んでいるため、いわゆる専門業務型裁量労働制が適用可能な社員が多く在籍しています。

 彼らの業務は納期や、個人の注文者との打ち合わせなどの関係で、これまでも会社の休日である土日祝日も休日返上で仕事に追われることが日常茶飯事でした。彼らにとっては、会社の決める休日はそもそも予定どおりに取得できるかわからない設定となっており、あまり現実的な配置とは言えない一面がありました。そこで、予定どおりに取得しにくい休日なら、寧ろ初めから社員に休日を自由に設定してもらった方が計画的な休日の所得が可能となり、業務の自主性を尊重できるのではないかと考えるようになったのです。

 そもそも専門業務型裁量労働制の適用対象となる職種は業務における裁量の大きい専門家で、その自主性が尊重される働き方に整合的な職種でもあります。通勤の負担が軽く、電話の少ない土日祝日に出勤する方が、仕事が捗るという人もいることは想像に難くありません。勿論、家族のイベントなどを重視して土日に休みたいという社員はそのように休みを設定すればよいだけなので、社員一人ひとりのワークライフバランスの充実にも資するものといえるはずです。なお、X社では専門業務型裁量労働制の適用対象者以外の社員にはフレックス休日(デイ)は今のところ導入しない予定です。

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