フレックス休日への取り組みについて/弁護士 中野 厚徳

2016.06.19 【弁護士による労務エッセー】
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 上記のようにフレックス休日(デイ)を導入したとしても、X社の業務の性質上、自ら設定した休日も予定どおりに取得できないことは当然に予想されます。そのため、休日の振替制度も定めておく必要があり、労働基準法上の休日の定めに反しない限り振替が認められるようになっています。

 X社のように①休日設定を社員に委ねて会社が適法性をチェックして承認のうえ休日を付与する方法のほかに、②会社が一応の休日を予め設定して、労働基準法の休日要件を満たす範囲で自由な振替(休日の変更)を認めるという方法もあると思われます。

 一般的にはフレックス休日(デイ)を導入する場合でも、会社は土曜日、日曜日、祝日を休日として特定したうえで、その休日の変更を一定のルールの下で労働者に委ねるという②の方が導入しやすいかもしれません。①の場合、休日は会社(使用者)が決めるべきものではないのかという議論があるかもしれませんが、あくまで労働者の設定に対し会社が承認して初めて休日は付与されるものであるため、労働者が全く自由に休日を設定するわけではありません。今回X社で①を選択したのは、現実に②よりも①の方が、休日振替が少なくて済むのではないかと思われたことと、社内的にも社外的にも社員の自主性やワークライフバランスを尊重する会社であるというメッセージを発信できると考えたからです。

 

弁護士 中野 厚徳(なかの あつのり)
虎ノ門パートナーズ法律事務所

【略歴】
平成43月 東京大学法学部卒業
平成44月 株式会社日本債券信用銀行(現 あおぞら銀行)入行
 人事部にて採用・研修・人事企画(リストラ)業務を担当
平成911月 社会保険労務士資格取得
平成1112月 同行退職
平成121月 中野経営労務事務所(社会保険労務士事務所)開設
同年4月 中小企業診断士資格登録
平成1611月 旧司法試験合格
平成211月 虎ノ門パートナーズ法律事務所 開設
同月 中野経営労務事務所を虎ノ門社会保険労務士事務所に名称変更
平成219月 虎ノ門LLPを他の専門家(弁護士、社労士、会計士、税理士、不動産鑑定士等)と設立

【取扱業務・講演他】
・弁護士としては、企業法務(労働分野ほか)、労働訴訟、労働審判のほか、中小企業診断士理論政策更新研修講師(中小企業庁)、社会保険労務士会の研修講師多数(各県会や支部)。
そのほか、会社支配権紛争や事業承継を含む相続関連問題、不動産の分野での紛争・訴訟対応を多く手掛ける。中でも、税理士、会計士、不動産鑑定士らと連携する分野(相続、株式、不動産)に大手金融機関からの協力要請が多い。
・社会保険労務士としては、賃金制度、人事制度の設計、構築のコンサルティング業務やオブザーバーのほか、複数の自主勉強会(東京都社会保険労務士会の自主研究会:労働時間研究会等)にメンバーとして参加している。

【事務所HP】
URL:https://www.tp-law.jp/

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