従業員のSNS投稿による「炎上」対策の重要性について/弁護士 小山 博章

2017.01.23 【弁護士による労務エッセー】
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従業員のSNSへの不適切な投稿による「炎上」

 従業員によるSNS(Facebook、Twitterなど)への不適切な投稿により、投稿した従業員本人だけでなく、その者が所属する会社までもが世間の批判に晒されてしまう「炎上」事例が後を絶ちません。投稿した本人が、懲戒処分の対象になったり、損害賠償を請求されたりするだけでなく、業務妨害罪で逮捕された事例もあります。また、会社も、クレームの殺到、信用失墜、株価暴落、店舗閉鎖など多大な被害を受ける可能性があります。実際に、従業員による不適切な投稿により顧客離れが進み、それが影響してピザ店の運営会社やそば屋が破産したのも記憶に新しいところです。

 「炎上」事例の典型的な例として、コンビニエンス・ストアのアルバイト従業員が、店舗内のアイスクリームのケースに入った様子を撮影した写真や、ピザ店のアルバイト従業員が、バックヤードでピザの生地を顔に貼り付けたり、業務用冷蔵庫の中に入ったりするなどの悪ふざけをしている様子を撮影した写真をSNSに投稿し、それを閲覧した第三者から不衛生だと批判が集中した事例などがすぐに思い浮かぶと思います。

 このように、アルバイト従業員による不適切な投稿が頻繁になされたことから、世間では数年前から「バイトテロ」などと呼び、たびたび報道もなされた結果、社会現象といっても過言ではない状況になりました。しかし、不適切な投稿により「炎上」させるのは、何もアルバイト従業員に限ったことではありません。実際に、正社員によるSNSへの不適切な投稿が原因になって、会社までもが「炎上」した事例も数多く存在します。

 そして、不適切投稿に関する報道は、未だに後を絶ちません。そのせいか、このような報道を耳にしても、多くの人は「またか」と思う程度で、驚かなくなっています。しかし、このように不適切投稿に関する報道に触れた人が驚かなくなってしまうほど「炎上」事例が珍しくなくなったということは、「炎上」が、会社にとって特別ではない、いつでも、どの会社でも起こりうるリスクとなったということを意味します。以前は、従業員による不適切投稿がなされても、会社を、浅はかな考えの従業員による不適切な行為に巻き込まれてしまった可哀想な被害者、というように位置付ける意見もありました。しかし、「炎上」事例が多発し、会社として何らの対策もせずに放置すべきではないという認識が広まった現在では、ひとたび従業員による不適切投稿がなされると、世間は、会社が従業員に対してSNS利用に関する教育・研修をきちんと行っていたのか、ガイドラインや規程の整備といった対策は行っていたのかなどといった事前対策の有無・適否や、「炎上」後の会社による事後対応の適否に注目するようになりました。そして、これらが不十分であれば、このこと自体が批判の対象となり、会社は、不適切な投稿によって毀損された信用を、さらに毀損してしまうことになりかねません。

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