マタニティハラスメント/弁護士 森田 梨沙

2016.01.12 【弁護士による労務エッセー】

 妊娠・出産・育休などを理由として、解雇・雇い止め・降格などの不利益な取扱(いわゆる「マタニティハラスメント」)を行うことは、違法です。

 男女雇用機会均等法第9条第3項は、女性労働者の妊娠、出産、産休・育休の取得等を理由として解雇その他不利益取扱をすることを禁止し、また、育児介護休業法第10条は、労働者が育児休業申出をし、又は、育児休業をしたことを理由として、解雇その他の不利益取扱をすることを禁止しています。

 そして、「不利益な取扱」については、厚労省の指針(「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」第4の3、及び、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の11)に具体例が挙げられており、例えば、解雇、雇止め、退職強要、降格、不利益な配置転換などがこれに該当するとされています。

 中でも、ご相談の多い類型の一つが、退職強要です。「うちみたいな小さな会社は少人数でなんとか回しているんだから、妊婦を雇う余裕はない。」などといって、妊娠した女性労働者に退職勧奨を行う例は、今でも良く見られます。

 しかし、退職勧奨は、別に妊娠・出産等を理由にしたものでなくても、元々無制限になしうるものではなく、許された限度を超えれば違法な退職強要と判断されます。

 それでは、妊娠、出産等を理由として退職勧奨が行われた場合、それが違法な限度に至っているかどうかの判断は、他の理由で退職勧奨が行われた時と同じ基準で考えてもよいのでしょうか。いわゆるダブルスタンダードが採用されているのかという問題です。

 この点を正面から判断した裁判例は見つけられませんでしたが、以前マタハラ事件を扱った際に労働局に照会をしたことがあり、その際の担当者の対応は「違法とされる判断基準が異なるとは理解していないし、そのような運用もしていない。」というものでした。

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