労働事件と使用者側弁護士の役割/弁護士 岸田 鑑彦

2016.01.05 【弁護士による労務エッセー】

使用者側からみる労働事件

 労働事件と聞くと、圧倒的な力を持つ使用者が、弱者である労働者をいじめてトラブルになっているというイメージを持たれる方が多いと思います。私も学生時代はそういう認識でした。労働基準法、労働組合法がまさに労働者を保護する法律であり、実際に我々が学ぶ労働法は労働者救済の観点からでした。

 しかし、実際に使用者側からみる労働事件は景色が全く異なります。使用者と労働者の力関係が完全に逆転しているケースもあります。特に中小企業の経営者の中には、誰にも相談することができず、労働者から理不尽な要求を受けたり、労働組合が大人数でアポイントもなく会社に押しかけて取り囲まれる等、困っている経営者はたくさんいます。

 使用者側弁護士として、孤独な経営者、困っている経営者と一緒になって対応していくことが、紛争の未然予防及び円滑な労使関係を築くうえで必要だと考えます。

 また、不当な要求に対しては断固拒否する、インターネット上の違法な書き込みや名誉を棄損するような書き込みに対しては、会社も積極的に責任追及していく姿勢を見せることも重要です。

労働事件には様々なタイプがある

 1つはシンプルな金銭請求です。法律上請求できる権利は主張したい、会社に対する思い入れや感謝の気持ち等はさておき、もらえるものはきっちりもらいたいというものです。最近はこのタイプの労働事件が増えています。

 もう1つは会社(特に経営者)への不信感を原因とするものです。会社に対して業務改善を申し入れたものの会社が相手にしなかった、社長から傷つくことを言われた、会社から罰金や理不尽な金銭請求をされた、理解してくれた社長が退任し二代目の社長は全然話を聞いてくれない等々、会社に対する些細な不満が積り積もって労働事件に発展するタイプです。

 そのほかにも、会社が、解雇・退職勧奨、降格等を行ったことに対して、労働者がインターネットで調べて弁護士や労働組合に相談し、残業代請求をするという逆襲タイプも増えています。

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