子どもが軸の働き方改革/社会保険労務士法人ワーク・イノベーション 代表社員 菊地 加奈子

2018.02.18 【社労士プラザ】

社会保険労務士法人
ワーク・イノベーション
代表社員 菊地 加奈子 氏

 私には子どもが5人。自分自身のキャリアと家族は、保育園に助けられてきた。

 私は5年前、自宅近くに保育園をつくった。まさに、「自分の子どもをみてもらえるように」という理由からだ。便利さを追求するために洗濯サービスやおむつの提供と、働く母の満足をとことん考えた。

 また、社労士のプライドにかけて保育士の世界にありがちな時間外労働・サービス残業をなくしていくことにもこだわった。

 しかし、保育士との関係づくりにはとても苦慮した。なぜならば彼らの保育というものはあくまでも子ども中心で、「サービス」とか「効率化」といった言葉と真逆の世界だったからだ。

 当初はそんな保育園の世界に大きな違和感と問題意識を持った。この意識を変えていかなければ保育士は潜在化する一方で、我われ働く母たちにとっては大きな危機だ、と。

 確かに保育士の労働環境には改善すべき点が多い。ただ、時間の経過とともに新たな点にも気付いた。それは、働く母親としてみてきた保育園と、保育園経営者としてみえる保育園と、社労士として捉える保育園がそれぞれ異なっているということだ。

 子どもが健やかに育つことが働く親にとって何よりの幸せだ。一方で母たちは自身のキャリアと子どもとの時間を秤にかけて常に悩んでいる。2度と戻らないわが子の1日を大切にしてあげられているか。1日を終える瞬間に、「今日は自分にとって満足のいくものだったか」そして「母としての喜びを感じられるものであったか」と。

 そんな問いかけに、立ち止まってしまうこともある。

 そして保育士たちも悩む。ある職員面談をしていたとき、一人の保育士が涙を流して訴えてきた。子どもの一瞬、一瞬を大切にしてあげたいのに、あまりにも多忙で「やり過ごしてしまう」ことが悔しいという。

 両立支援と保育の問題はつながっている。そして、子どもを中心に据えることで、企業における働き方も保育のあり方も変わるのだと肌で感じるようになった。単なる育児と仕事の両立、ではなく、子どもの育ちというものをより深く企業も親たちも保育者たちも学んでいくことで、自ずと働き方は変わっていくのだ。

 そんな考えの下、企業内保育園を幅広く支援するようになった。労務の部分だけでなく、両立支援にも保育内容にも深くかかわる中で、いま、私は本当の意味での「働き方改革」と向き合う実感が持てることに幸せを感じている。

社会保険労務士法人ワーク・イノベーション 代表社員 菊地 加奈子【神奈川】

【公式Webサイトはこちら】
http://work-i.co.jp/

掲載 : 労働新聞 平成30年2月19日第3149号10面

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