【主張】来月から求人企業に罰則

2017.12.25 【社説】

 今年の通常国会で成立した改正職業安定法における職業紹介の規制強化条項が平成30年1月1日に施行される。柱となっているのは、従来まで指導対象から外れていた求人企業に対する規制と罰則の新設である。

 同条項によると、求人企業は、採用時の労働条件があらかじめ求人票などで提示した内容と異なる場合は、求職者が理解できるよう書面で説明しなければならない。虚偽求人が判明すると6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される厳しさだ。

 最近の民事裁判においてもデイサービスA社事件(京都地判平29・3・30、本紙10月23日号14面掲載)で、採用時に求人票と異なる労働条件を提示した行為を、違法・無効とし未払い賃金の支払いなどを命じた。

 働き方改革が強力に推し進められるなか、とくに若者が不利益を被りやすい採用時労働条件の不利益変更に対する各方面からの包囲網が狭まりつつあり、企業としては細心の注意で臨みたい。

 採用担当者としては、自社の労働条件をよく確認し、実態に即した求人票を作成することが要求されている。当たり前のようだが、求人票関連トラブルは決して少なくないのが現実である。同裁判例をみると、ハローワークの求人票やその後の面接では、雇用期間がなく、定年制の定めもないことになっていたが、実際には1年契約で定年年齢60歳であることが判明した。

 原告の労働者は、すでに前の企業を退職して被告会社で就労を開始していたことから、最終的に提示された労働条件通知書にサインせざるを得なかったという事案だ。

 解説した中町誠弁護士は「不利益な労働条件変更には常にリスクが伴う。個別合意を取り付けるには、十分な説明を尽くし、考慮期間を与える」などの配慮が重要と訴えている。説明した記録もしっかり残しておきたい。

 平成28年度において、求人票と実際の労働条件の相違に係る申出件数は9299件に上る。翌月の30年1月以降は、改正法に基づくさらに厳格な行政指導が展開されることになろう。

掲載 : 労働新聞 平成29年12月18日第3141号2面

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