【主張】風土や文化変える働き方

2017.05.01 【社説】

 政府は、今後10年程度を見据えた働き方改革ロードマップを打ち出した。同一労働同一賃金の実現、時間外上限規制の強化、勤務間インターバルの導入、副業・兼業の推進など、かなり幅広い分野にわたる重要な見直し実行計画を明らかにしている。

 計らずも、わが国の労働システム全般が欧州先進諸国と比較していかに後れをとっていたかが明白となってしまった。欧州先進諸国の水準に近付けるべき分野と、わが国独自のもので高く評価されるべき労働システムとを峻別しながら、政労使一体となって改革を実行に移し、一層の成熟社会に向けて歩みを進めていきたい。その意味で、今回のロードマップ作成の意義は極めて大きい。

 ロードマップは、単なる働き方改革をめざすものではない。この改革によって、最終的に国民の経済と心の豊かさを向上させ、日本をより高度な成熟社会に導こうとしている点に注目したい。若者がより良い将来へ向けて展望を持ち、自分の未来は自ら創造していける社会の形成が働き方改革の目標と謳っている。

 労働生産性向上も重要である。働き方改革によって成長と分配の好循環につながれば、潜在成長力の底上げとともに中間層の拡大が見込まれるという。そうなれば、家庭生活の充実とともに出生率改善に期待が持てる。

 働き方改革が社会全体にいかに大きなインパクトとなるかが、改めて実感できるロードマップである。働くということが、国民生活すべての基盤であり前提となっていることが分かる。働き方が変化すれば、風土や文化もそれに呼応して移り変わっていく。

 肝心なのは、政労使が一体となって改革を推し進めていくことである。労使が勝手に既得権を主張し、対立し合う時代はすでに終わっている。ロードマップに示された課題を一つひとつこなしていくには、難しい法改正・制度改正が求められる場面が多く、連携と協力が不可欠である。

 ロードマップが示す10年後の日本社会がどのような姿に変わっているか……労使双方の取組み姿勢にかかっているだろう。

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掲載 : 労働新聞 平成29年5月1日第3111号2面

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