【ひのみやぐら】労働基準監督官という仕事

2014.06.01 【社説】
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 昨年秋、女性労働基準監督官を主人公にしたテレビドラマが放送されたのをご記憶だろうか。デフォルメされた部分も少なくなかったが、労働基準監督官の仕事を理解するのには頭に入りやすいドラマだった。

 さて、労働基準監督官は労働災害が発生した場合、立入調査を行うことになる。その現場は、目を覆うような惨状となっていることも十分にあり得る。血が飛び散っている、肉片が散乱、身体が押しつぶされた――。今号、特集Ⅰに執筆いただいた元労働基準監督官・村木宏吉さんの原稿には凄惨な事故現場の様子が書かれている。決して、刺激的な表現を使って煽っているわけではない。労働基準監督官を経験したうえで、現場の真実を報告しているのである。

 人は、ただの肉塊と化した人間を目の当たりにしたとき、何を思うのだろう。虚無感、後悔、怒り、無力感などさまざまな感情が入り乱れ、結局は落涙か胸が押しつぶされるような、どうしようもなく悲しい気持ちを抱くしかない。事故の関係者はもちろん、どこにも持っていきようのない感情を持つことになるのは、監督官も同じである。だからこそ災害の再発を繰り返させないためにも、監督官は調査を行っている。ときには、筆舌に尽くし難いほど甚大な被害の出た現場でも、使命感を持って業務を遂行しているかと思うと頭が下がる思いだ。凄惨な現場をよく目にするからこそ、「労働災害を起こしてはならない」と本音で訴えることができるのだろう。

 特集Ⅰでは、食って掛かる社長のエピソードも紹介されているが、監督官が厳しく指導する背景には、人間がただの肉塊と化すような悲惨な労働災害を二度と起こしてはならないという思いがあるからにほかならない。

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平成26年6月1日第2211号 掲載

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