【主張】マイナンバーを好機に

2015.12.21 【社説】

 マイナンバー制度が社会保険未加入対策の決め手に建設業振興基金(内田俊一理事長)が作成した「中小建設企業のためのマイナンバー対応マニュアル」によると、マイナンバーで「未加入問題は新たなステージ」に移行すると明言している(本紙11月2日号3面既報)。

 公共事業労務費調査によると、企業別の社会保険加入状況は雇用保険96%、健康保険94%、厚生年金保険94%と高率だが、労働者別では同じ順に79%、72%、69%にとどまり依然不十分な状況にある。

 マイナンバーは、労働者別加入状況の把握と加入促進に向けた大きな武器になるとしており、これを有効に活用すべきである。莫大なコストと時間を掛けて導入したマイナンバーの効能に着目したい。

 政府も平成29年から社会保険未加入対策としてマイナンバーを活用する方針を打ち出している模様である。従来まで、年金事務所は自らが保有するデータと国税庁などから提供されたデータを突き合わせて、指導対象となる未加入企業を特定してきた。このデータ突合わせには、多くの人員と時間を要し、速やかな対処を困難とさせていた。

 しかし、マイナンバーを活用すると、従業員に支払っている賃金に見合った社会保険料を納めていない企業を容易に割り出すことができるという。さらに、法人番号とマイナンバーにより、企業単位では加入済みであっても、その中で未加入の従業員の存在が把握可能となる。つまり「従業員単位」の加入状況が判明しやすくなる。

 同マニュアルは、「保険料の強制徴収、遡及徴収といった措置が講じられる前に該当する従業員と話し合い、速やかな是正を図ることが重要」と強調している。

 マイナンバーが社会保険加入へ向けた大きな力になれば、保険料の的確な徴収というより、従業員の労働環境の底上げ、セーフティーネットの強化が可能となろう。各従業員のマイナンバーを単に集めるだけの手間のかかる作業と受け取るのではなく、労務管理改善をスタートさせる好機と捉えたい。業界の魅力アップに不可欠である。

掲載 : 労働新聞 平成27年12月21日 第3045号2面

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