【主張】ひど過ぎる是正勧告無視

2014.10.27 【社説】

 第三次産業では目下、労働災害の抑制が課題となっているが、その前に労働条件管理に対する意識の欠如に大きな問題があることを再確認すべきである。経営者の労働条件改善に向けた意欲が高まれば、労災防止にも好影響が生じる可能性がある。

 本紙が最近取材した第三次産業に係わる司法処分事件の実態をみると、開いた口がふさがらない犯罪行為が横行している。一歩譲って、基本的な労働法令違反については、経営上の理由や無知によるものとして同情の余地があるとしても、労働基準監督官の指導に従わないケースが立て続けに発生し、これはコンプライアンス以前の現象である。

 東京・江戸川労基署が司法処分したスーパーマーケットの事例では、固定残業手当分を超えた残業代を支払っていなかったことが発覚したため、まず是正勧告をした。社長や人事部長は、是正勧告に応じる姿勢を示し、後に超過残業代を支払ったとする報告書を提出した。しかし、会社や社長宅へ家宅捜索した結果、実際には未払いで、虚偽報告の提出を共謀していた。

 大阪労働局の事例をみると、もっとあからさまだ。慢性的な人員不足に陥っていた、大手マッサージ業で、労働者が申し出た年次有給休暇を付与しなかった。「年休」を取った労働者に対しては、欠勤・無休扱いとしたのである。「1人に年休を与えてしまうと、他の労働者からも申請される」ことを恐れた。

 ここまでは、基本的な法令の無知からくるとしても、このマッサージ業は、労働基準監督官の3度にわたる是正勧告を全く無視した。大阪労働局と管轄の2つの労働基準監督署は、合同で家宅捜索を敢行した後、司法処分に踏み切ったのである。

 いずれも、司法警察職員としての労働基準監督官を軽視した確信犯だ。小規模でしかも参入・撤退が盛んな第三次産業なだけに、経営者の意識改革は決して容易ではない。労働法令の広報・周知活動の強化はもとより、労働基準監督官の増員、社会保険労務士のさらなる活用などで、意識改革にもっと精力を傾けるべきである。

掲載 : 労働新聞 平成26年10月27日第2990号2面

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