【主張】若者を育む気持ち持って

2015.12.07 【社説】

 先の通常国会において成立した若者雇用促進法によると、ハローワークは賃金・労働時間などの法令違反を繰り返す企業からの新卒求人を受理しないことができるとしている。本紙報道(11月9日号1面)では、その基準案として過去1年間に2回以上同一条項に違反し、是正勧告を受けていたり、送検された場合に一定期間にわたって不受理にするという。

 いわゆる「ブラック企業」に対する制裁措置と位置付けることができる。ブラック企業リストには、大手も名を連ねており、仮に新卒一括採用に支障が生じては大変なことになる。厚労省では、実効性を高めるために、民間職業紹介機関にも同調を求めるとしており、軽視できない。これを機に、ブラック企業の汚名を返上し、経営者は若者を育む気持ちを最優先してもらいたい。

 そもそも職業安定法では、求人申込み内容が法令違反の場合を除き、全ての求人申込みを受理しなければならないことになっている(同法第5条の5)。国民の勤労権と職業選択の自由を保障するというのが全件受理原則の趣旨である。若者雇用促進法は、この原則に軌道修正を図ったものとして注目に値する。若者を使い捨てるブラック企業の撲滅と制裁を優先して原則を改めたと考えられ、見方によっては大きな変更と捉えることが可能だ。

 若者の立場から考えれば、新卒時の職業体験が生涯にわたるキャリア形成に影響を及ぼす可能性がある。ようやく内定をもらい入社したのに、違法な長時間労働が横行するブラック企業だとしたら、職業生活どころか心身の正常な発達にもマイナスだ。

 求人不受理条項の施行日は平成28年3月となっている。厚労省は、これを厳正に適用して、若者の雇用安定と企業の公正競争を図るべきだ。

 参議院厚生労働委員会の附帯決議では、不受理とする求人者の範囲拡大などを検討すべきと指摘している。厚労省も「不受理を一般求人にまで拡大することについて検討する」との意向を示した。実現すれば、新たな次元に入ることになろう。

掲載 : 労働新聞 平成27年12月7日第3043号2面

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