【主張】「働き過ぎ防止」に力点を

2014.09.01 【社説】
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 厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会では、わが国の雇用ルールの大幅見直しに向けた各種議論がスタートする。

 労働時間規制からの除外を拡大する「新たな労働時間制度」の創設をはじめ、裁量労働制の適用拡大、フレックスタイム制の清算期間延長など、従来まで難しいと思われた改革メニューが並び、政府の雇用ルール再編に向けた意気込みが感じられる。

 しかし、立ち止まって考えると、極めて重要な前提条件が欠落しかかっているのが気になる。「働き過ぎ防止」に対する力の入れ方が減退している点である。

 「日本再興戦略」の改訂版によると、確かに、「働き過ぎ防止」のために監督指導体制を充実したり、長時間労働抑制対策、年次有給休暇の取得促進策などを検討すべきとしているが、具体性に欠け意欲が感じられない。

 実は、産業競争力会議が平成25年12月にまとめた「雇用・人材分科会」の中間整理では、「働き過ぎ防止」のための対策にかなり踏み込んだ記述をしていた。

 わが国労働者の労働時間は依然として各国と比べても長いとして、例えば、割増賃金のあり方の見直しに加え、労働時間の量的上限規制にまで言及していたのである。労働時間の量的上限規制とは、一定期間における最長労働時間の設定や勤務時間の間に一定の休息期間を設けるインターバル規制の導入を指し、これらを総合的に検討するよう主張していた。

 同中間整理と比較して、「日本再興戦略」の改訂版の記述が、「働き過ぎ防止」の分野で、かなりトーンダウンしているのは明らかだ。これを受けた労働条件分科会における検討の優先順位に大きく影響しよう。

 「新しい労働時間制度」も裁量労働制の適用拡大も「働き過ぎ防止」が先決とならざるを得ない。長時間労働を現状のままにして、規制緩和を進めるようでは、労働者、一般国民の理解を得るのは難しい。労働条件分科会では、規制緩和とバランスの取れた思い切った「働き過ぎ防止」を打ち出してもらいたい。

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平成26年9月1日第2983号2面 掲載

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