【主張】「脱自殺者3万人」で満足するな

2013.07.08 【社説】
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 政府は6月18日、平成25年版「自殺対策白書」を閣議決定した。それによると、24年の自殺者数は、対前年比2793人減の2万7858人(男性1万9273人、女性8585人)となり、平成9年以来、15年振りに3万人を下回った。内閣府自殺対策推進室は「国や自治体などで進められてきたうつ病患者や多重債務者への自殺予防策が一定の成果を上げた」というが、これぞ自画自賛だろう。

 世界保健機関(WHO)では、毎年、9月10日を「世界自殺予防デー」としているが、これに呼応してわが国でも平成19年6月に閣議決定された自殺総合対策大綱で毎年9月10日からの1週間を自殺予防週間に設定し、啓発活動を続けている。9年に3万人台を記録した自殺者が同水準で10年間も続いた後のことである。もっとも、うつ病患者や多重債務者をターゲットとした予防策が効果を上げたとしているが、自殺者の死因については不明な点が多いのは否定できず、結果だけで成果を論ずるのはいたし方ないところ。ちなみに平成12年に国民健康づくり運動で「健康日本21」が公表され、その中で自殺者を2万2000人以下とする数値目標を示したが、それには遠く及ばない。

 ただ、18年6月に自殺対策基本法が成立し、先の大綱の作成によって国家戦略の方向付けができたなど支援態勢の枠組みはほぼ固まり、不透明ながら、3万人を脱却できたことをバネに関係各機関のさらなる努力を期待する。

 24年の統計で気になるのは、四十歳代以降で低下傾向を示しているものの、二十歳代では右肩上がりになっていることだ。うつ病や多重債務にあまり関係の無い年代層と思われるだけに「いのち」についての教育の必要性を感じる。死因の半数近くが自殺というのは、異常としかいいようがない。冒頭の白書では、「就職失敗」と「進路に関する悩み」を主な自殺動機としているが、それほど単純ではあるまい。脱3万人を瞬間風速とさせないためにも、自殺未遂者の追跡などもっと現実的な見地から、対応を図っていくことを関係各機関の一層の努力に期待したい。

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平成25年7月8日第2928号2面 掲載

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