【主張】厳しい“自殺”の労災認定

2020.12.17 【社説】
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 札幌地裁は、試用期間延長などとの相当因果関係を認定し、看護師の自殺を労災認定したが、使用者にとっては厳しい判決となった(12月7日号3面既報)。吃音を抱えていた同看護師を採用後、丁寧な指導を行い能力向上を図ったものの、試用期間中に十分な成長が認められず1カ月延長したことなどが自殺につながったとしている。使用者にとっては、同看護師に対するこれ以上の対応は採り得ず、自殺の原因を業務以外の「個体側要因」にあると判断するのが正当であろう。

 使用者側である病院は、吃音を有する同看護師に対しても、新人看護師に対する教育指導の一環として治療説明練習を課していた。判決では、同看護師に対する教育・指導・叱責は、業務上のミスに対するものであって、職務上必要なものであると認めている。病院としては、同看護師の状況に合わせ丁寧な教育指導を行ってきたという自覚があるはずだ。

 所定の試用期間終了が間近に迫ったため、病院は同看護師に対する今後の処遇を話し合った結果、1カ月間の試用期間延長を行ってさらに改善を促そうとした。その際、1カ月後の処遇をどうするかについては話されなかった。

 試用期間延長は、病院があらかじめ定めていたルールに沿ったものだった。同ルールでは、人事考課結果で1つでも最低評価がある場合、本採用しないことにしていた。同看護師については、採血や注射など患者の身体に直接影響を加える技術の向上に遅れがあると判断し、「仕事の速さ」について最低評価を決定したのである。

 このような流れを考慮すると、病院の対応は同看護師の人格を否定したり、過度の圧力を加えた事実もなく、丁寧な教育指導に配慮していた。さらに、試用期間もルールに沿って期間延長したものと考えて良い。

 精神障害の認定基準では対象疾病の発症前概ね6カ月間に業務による強い心理的負荷が認められることが必要としている。しかし、「個体側要因」による発病と認められないことが前提である。公正な判断を求めたい。

令和2年12月28日第3286号2面 掲載

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