【主張】自律型労働制の2弾目も波乱か

2014.06.02 【社説】

 産業競争力会議雇用・人材分科会の長谷川閑史主査が作成した「個人と企業の成長のための新たな働き方~多様で柔軟性のある労働時間制度・透明性のある雇用関係の実現に向けて~」のなかにある「新たな労働時間制度の創設」が、話題を集めている。残業代ゼロとして労働界を中心に猛反発された米国型の「ホワイトカラー・エグゼンプション」の巻き返しとみられているからだ。制度はAタイプ(労働時間上限要件型)とBタイプ(高収入・ハイパフォーマンス型)に分かれている。現段階では、批判はBタイプに集中しているようにみえる。概要を説明しよう。

 B型は、高度な職業能力を有し、自律的かつ創造的に働きたい社員が任意に制度の利用を選択する本人希望型。年収下限の要件(例えば概ね1000万円以上)を定める。

 期初に職務内容およびその達成目標を提示し、その達成度および報酬を明確にする。報酬は、成果・業績給のウエートの高い体系を適用する。

 法律によって運用し、当初は過半数労組のある企業に限定する。制度導入に当たっては労基署に届出を行うとするなど、前車の轍を踏まぬよう細心の注意を払っている。

 ただ、年収下限の1000万円というのが良く分からない。労働基準法41条2号は、労働時間の適用除外として管理監督者を挙げているが、名ばかり管理職問題では、ふさわしい処遇が基準に掲げられた。ちなみに厚生労働省が行った「平成25年賃金構造基本統計調査」によって、管理職の平均年収(100人以上規模)を推計してみると部長1035万円、課長817万円となっており、少なくとも収入面なら符合する。ただし、提案では、組織を運営する管理職ではなく、一匹狼的な人材を対象としており、収入面はそのごく一部に過ぎない。

 裁量労働制の変形のような感じで、大騒ぎするような内容とも思えぬが、日本労働弁護団の鵜飼会長は「ホワイトカラー・エグゼンプションの再来であるどころか、さらに最悪の残業代ゼロ、過労死促進提案にほかならない」と警戒を呼び掛けている。今後の場外戦をみて判断したい。

掲載 : 労働新聞 平成26年6月2日第2971号2面

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