【主張】現実味帯びてきた自律的労働制

2014.07.14 【社説】

 07年の第一次安倍政権で登場した「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、各界の批判を浴びあえなく頓挫したが、飽くなき執念が成就したのか、息を吹き返しつつある。政府の産業競争力会議がまとめた最終案に盛り込まれて、今後労働政策審議会で具体的な対象職種などを検討し来年の通常国会での労働基準法改正をめざす(本紙7月7日号1面)という。現行労基法41条は、労働時間、休憩および休日に関する規定の適用除外を定めているが、その第2号には「監督もしくは管理の地位にある者または機密の事務を取り扱う者」と規定されている。これに「労働時間管理を自律的に行う者」として加わるのか。はたまた企画業務型裁量制(38条の4)の一角をなすのか興味深い。

 安倍総理の執念とともに経営側のそれが実ったともいえる。同会議の雇用・人材分科会・長谷川閑史主査(武田薬品工業会長)は、「個人と企業の成長のための新たな働き方」という提言の中で、その具体像を明らかにしているが、改めて紹介しよう。

 論議を呼んでいるのはBタイプ(高収入・ハイパフォーマー型)だ。対象者は、高度な職業能力を有し、自律的かつ創造的に働きたい社員が、任意に本制度を選択する(本人希望の尊重)。ただし、本制度を選択し、または選択しないことをもって昇進などに不利益を受けないものとする。

 年収下限要件として、例えば1000万円以上を定めるとしているが、対応する高度な専門職は4%程度に過ぎないという。仕事の成果で評価する「脱時間給」の働き方としているが、世間ではこれが素直に受け取られていない。

 働く量ではなく成果というのなら、残業代はゼロになってしまう、金融ビジネスなど予想されている職業に従事する者の多くは、向上心が旺盛で目標達成後もさらなる成果を追求するため年休取得に関心が薄い。結果的に過労死に至る懸念がある等々がそれ。鞭打てば、それに反応してわが身を忘れて働く手合いはいる。提言は、綿密な労働強化防止策にも及んでいるが、審議会議論を経てこれらが担保されてからともいえそう。

掲載 : 労働新聞 平成26年7月14日第2976号2面

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