【主張】荷主を巻き込んで結果を

2015.03.09 【社説】
  • TL
  • シェア
  • ツイート
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 厚生労働省が、今国会に提出する労働基準法改正案では、月60時間を超える時間外労働の割増率50%以上を中小企業に適用拡大する方針を打ち出した。この適用拡大で最も大きく影響を受けるのが、多くのドライバーを有する運送業で、逆にいえば同業界の長時間労働が改めて浮き彫りとなった形である。これを機に業界、企業が一体となった労働時間短縮に積極的に取り組み、割増賃金率の引上げに対処してほしい。

 同業界の長時間労働は死亡交通事故につながる可能性が高く、従来から問題視され各種対策が打たれてきたものの、依然として不十分な状況が続いている。本紙でも、月500時間拘束のトラックドライバーが死亡する交通事故で、事業場を司法処分したケースを報道(2月9日号3面)したばかりだ。

 実態をみると、時間外労働が月60時間超の者がいる事業場割合は、交通運輸業で13%、貨物取扱業で18%に上る。製造業の9%、建設業の4%と比べ大きな差がある。脳・心臓疾患に基づく労災支給決定件数でも、職種別でみて自動車運転従事者が圧倒的に多く全体の約3割に及ぶ。

 労基法改正案では、割増率50%以上適用の猶予措置廃止を提言したものの、こうした運送業の長時間労働が短期間には解消できないとみて、さらに3年の期限付き猶予期間を設定する方向であり、賢明である。その間、厚労省では、業界団体と連携して長時間労働抑制に向けた環境を整えるとしている。

 同業界の長時間労働の背景には、ニーズの多角化などに伴う荷主側の圧力があり、これが最大のネックとなっている。大企業よりも中小企業の方が長時間労働となっている実態からも、荷主に弱い立場は明らかだ。労組による調査では、荷主先で「手待時間」が発生した経験を有するドライバーも約5割に達する。

 現状の実態を引きずったまま割増率50%以上が適用されることになれば、著しい人件費増となり、中小運送業の経営圧迫につながりかねない。荷主をも巻き込んだ対策を強化し、結果を出さなければならない時期に来ている。

ジャンル:
平成27年3月9日第3008号2面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ