【主張】強行・補充的な効果に期待

2017.07.10 【社説】

 労働政策審議会(樋口美雄会長)は、時間外労働の上限規制強化に向けた「建議」をまとめた。特別条項付き36協定の時間外上限を「単月100時間未満」とする規制新設への関心が高いが、本紙としては「限度基準」(労働時間の延長の限度等に関する基準)の罰則付き法定化に注目したい。大臣告示による行政指導基準という位置付けから、強行的・補充的効果を有する規定へステップアップする。

 現行の限度基準は、平成10年改正により労働基準法に根拠を有する大臣告示と位置付けられた。時間外労働の適正化を図るため、1カ月45時間、1年360時間などとする上限規制を設定している。

 しかし、限度基準の効力には一定の限界がある。法的根拠のある基準ではあるが、実際には労使が36協定を締結する際の行政指導基準に過ぎず、強制的な効力を有しないとするのが通説となっている。労基法コンメンタールにおいても、限度基準に適合しない36協定の届出がなされた場合、助言・指導により是正を求めることができるとする解釈に留まる。

 時間外労働の基本原則に強制力がなければ、国民への周知啓発に欠けるばかりか、企業の法令遵守に対する意欲も削がれかねない。一部企業で時間外労働が野放図となっている大きな要因の一つといえるだろう。

 建議では、こうした盲点を直視し、限度基準を「法律に格上げし、罰則による強制力を持たせる」との方向性を明確に打ち出した。長年にわたり懸案となっていた限度基準の法定化が実現する可能性が高まっているのであり、大きな前進である。

 限度基準が罰則付き規定に格上げとなれば、当然、労基法第13条が適用となろう。同条によれば、労基法に定める基準に達しない労働条件は、その部分については無効であり、無効となった部分は、同法に定める基準によるとしている。

 つまり、限度基準は、単なる行政指導基準から強行的・補充的な効果を新たに有する規定となり、時間外労働の絶対的上限規制へと移行することになる。

掲載 : 労働新聞 平成29年7月10日第3120号2面

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