【主張】知人の「労災隠し」遭遇で再認識

2012.09.10 【社説】
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 本紙3面には、毎週のように「労災隠し」の摘発が報道されている。実は、知人の弟も脳梗塞の手術を受け、退院したばかりだが、労災隠し被害者の一員に名を連ねようという状況にある。知人の説明によると、会社は、従業員100人という中規模の建設関係に属しているが、「費用一切は会社が持つから、労災保険の請求は断念してくれないか」と説得してきているさなかだという。会社の要求を断れば、居場所が無くなる立場を悪用しようとする意図が透けてみえるケースである。

 小生も商売柄、知人に対し「もし会社のいうがままに応じると取り返しのつかない事態を招きかねない」と忠告した。専門工事業者だから、労災保険は元請一括となっていると推測される。費用を全額負担するなどの逃げ道は、メリット制への跳ね返りを嫌った元請筋からの入れ知恵の可能性が高い。費用の全額負担というのも、第一次の脳梗塞手術並びに休業手当の支給に留まり、今後、再発した場合、あるいはこのまま療養を続け、残存障害のため職場復帰できないような状況になった場合はどうなるか、弟に忠告すべきと助言した。仮に法違反に目をつぶっても、費用負担は会社が存続し続けることが前提で、申出は保証の限りではない。

 当該企業は、残業代固定制で運用され、毎月40時間で時間外労働が「足切り」されるという。いわゆる「過労死認定基準」によれば、発症1カ月前に100時間を超え、もしくは、2~6カ月間に月平均80時間を超える時間外労働が業務起因性の最重要基準だ。40時間を超える残業は毎月、と弟は認めているが、足切り制で馬鹿正直に真実の残業時間を残す可能性はゼロに近い。要の基準が立証されないと、労災認定は棄却され、労働者死傷病報告違反(安衛則第97条)も免れてしまう。

 厚生労働省は労災隠し撲滅のため、その対策を平成3年以降数次にわたって都道府県労働局長に通達しているが、本紙3面にあるように結実への道は遠い。と、同時に日常茶飯事的に行われる労災隠し撲滅にもっと真剣に取り組む必要性と責任を痛感した。

平成24年9月10日第2888号2面 掲載

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