【主張】予見性高い過労死基準に

2021.07.15 【社説】
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 厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定基準を見直す方針である(関連記事=脳・心疾患労災認定基準 勤務時間の不規則性重視 インターバルを考慮 厚労省)。労働時間以外に、勤務時間の不規則性を重視し、労働時間数と総合して業務上外認定するとした。現行では、ほぼ「過労死ライン」の労働時間基準に沿った認定を行っており明確といえるが、勤務時間の不規則性を総合的に考慮すると曖昧な部分が拡大する懸念がある。運用に当たっては、労務担当者にも分かりやすい判断基準を明確に提示する必要がある。

 現行基準は、発症前1カ月間におおむね100時間または発症前2カ月間ないし6カ月間にわたって、1カ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いなどと評価して業務上認定している。企業は、「過労死ライン」を超えないように勤務時間を設定すれば、おおよそ問題はない。

 今回の認定基準改定では、様ざまな勤務時間の不規則性を「重視」して、総合的に判断するとした。「労働時間のみで業務と発症との関連性が強いと認められる水準には至らないがこれに近い時間外労働が認められる場合には、特に他の負荷要因の状況を十分に考慮すべきである」というのである。

 確かに、不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務や休日のない連続勤務、そして近年注目されている勤務間インターバルが短い勤務などが、労働時間の長さとの相乗的効果により脳・心臓疾患を発症する可能性を高めることは理解できる。勤務間インターバルが十分でないと、睡眠不足により脳・心臓疾患が発症しやすくなるのは明らかだ。

 しかし、「過労死ライン」による判断に比べ、曖昧になる恐れは否定できない。たとえば、不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務については、予定された業務スケジュールの変更の頻度・程度・事前の通知状況、勤務のため夜間に十分な睡眠が取れない程度などを評価するとした。生体リズムと生活リズムのずれが生じ、疲労の蓄積を促すというが、客観的な負荷基準を明確にする必要がある。企業に対してできる限りしっかりとした予見可能性を示すべきだ。

令和3年7月26日第3314号2面 掲載

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