派遣会社の雇用維持へ/社会保険労務士法人 ザイムパートナーズ 代表 奥田 正名

2020.10.11 【社労士プラザ】
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社会保険労務士法人 ザイムパートナーズ 代表 奥田 正名 氏

 今年4月1日施行の改正派遣法への対応に向けて、多くの派遣会社において同一労働・同一賃金の派遣会社版である労使協定方式による賃金・評価制度の導入の相談が弊社にも全国から寄せられた。その対応が一段落したところに新型コロナウイルスによる影響を受け、多くの派遣元会社が契約の中途解除・不更新を余儀なくされた。派遣元としては派遣法と新型コロナへの対応にずっと振り回されている感がある。

 派遣先と派遣元の企業間の取引は、あくまで私契約に基づくものだが、派遣スタッフの雇用主である派遣元には派遣法をはじめ、労働法令による制限があり、派遣先の仕事がなくなったからという理由のみで、即解雇ということはできない。派遣契約の終了のみを理由とした解雇は行わないことを就業規則等に定めないと派遣業は許可されないからだ。

 派遣先からの仕事がなくなっても、雇用期間が継続している限りは休業手当をスタッフに支払わなくてはいけない。ただし、その手当相当額を派遣先に請求できるかというと現実的には難しいというケースを、顧問先の派遣元から耳にすることが増えた。

 派遣法29条の2および派遣先指針を根拠に、厚生労働省は派遣先に対し、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることができないときには、少なくとも中途解除によって派遣元に生じた損害(休業手当や解雇予告手当相当額)の賠償を行うことが必要だと促している。だが、それに応じず、雇用調整助成金が受給できるのであれば、それを利用することを優先すべきで賠償する必要はないと開き直られるケースも現実にはあるようだ。

 実際の雇調金は、中小企業においては所定労働日数の40分の1以上休業要件があり、スタッフの人数が多い派遣会社での一部休業は要件を満たせず、休業させても助成金がもらえないというケースもある。厚労省は関係団体を通じて、8月28日に「新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等について」を公表し、3カ月などの短期の有期契約で雇用されている派遣スタッフを念頭において、派遣先には派遣契約の更新を、派遣元には雇用契約の更新を訴えてはいるが、どこまで実効性があるかは疑問だ。

 非正規雇用をなくしたいというわが国の方向性において、派遣会社は派遣法による特例で許されている存在ではあるが、自発的に非正規雇用を選んでいる人が相当数いることも事実で、その雇用を支えてきた派遣元にも何らかの特例が設けられることを願うところである。

社会保険労務士法人 ザイムパートナーズ 代表 奥田 正名【愛知】

【webサイトはこちら】
https://zaimupartners.biz/

令和2年10月12日第3276号10面 掲載

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