成年後見人の進展へ/古澤社会保険労務士事務所 所長 古澤 和哉

2020.03.22 【社労士プラザ】
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古澤社会保険労務士事務所 所長 古澤 和哉 氏

 成年後見制度は人工呼吸に似ている。自分には使えないノウハウだからだ。しかし、誰しもがこのノウハウを身に着ければ、いずれは自身のセーフティーネットになる。高齢化社会の安定に資するインフラとなるはずだ。

 東京都社会保険労務士会の一般社団法人社労士成年後見センター東京には、前身の社労士成年後見制度検討委員会からかかわっている。

 社労士会も会員も、社労士業務の幹である1号業務・2号業務および3号業務についての取組みを強化・進展させることに躊躇はない。しかし、成年後見制度への取組みなど「社会貢献」についても、すでに行政や国民から期待が高まっている現状をしっかり認識し、確実に進展させていかなければならない。また、業界内においても、47都道府県にそれぞれセンターが設置され、家族やふるさとの知り合いに同業者である成年後見人を斡旋できるようになれば、安心して自身の仕事にも邁進できるのではないかという期待もしている。

 専門家成年後見人としては、弁護士、司法書士、社会福祉士の3団体が行政からの信頼も厚く、ノウハウや経験も一日の長がある。しかし、我われは開拓者に学びつつ、社労士ならではの成年後見業務の在り方があると考えて、市区町村、社会福祉協議会等の行政や関係団体に社労士成年後見人をアピールしている。すなわち、年金をはじめとする社会保障の専門家であること、労働問題に精通していることから、被成年後見人の家族の労務相談などにも対応できること、そして何よりも、人に寄り添う士業として一昨年50周年を迎えるに至ったことなどを強みとして、認知が深まり評価につながるよう努力を続けている。

 基幹業務を全うしていれば、「社会貢献」に費やす時間はないとして、社会貢献業務に否定的な意見もある。しかし、専門家にとって、いわゆる社会的弱者から頼りにされる、相談されることは最大の喜びであるはずだ。成年後見に携わる友人の社労士はいった。「自分は『ヒトに関することは何でもご相談ください』といって営業してきた、いまさら、えり好みは許されないと思っている」。言い得て妙だと感じた。

 現在、約500万人の認知症患者に対して20万人程度が法定後見制度(成年後見・保佐・補助の3種類)を利用しているとされる。団塊の世代がすべて75歳に達する2025年、認知症患者は700万人を超えるといわれている。社労士の成年後見人としての出番はこれからといえるのではないだろうか。

古澤社会保険労務士事務所 所長 古澤 和哉【東京】

【公式webサイトはこちら】
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令和2年3月23日第3250号10面 掲載

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