「個」の輝く社会へ/社会保険労務士法人 合同経営 是松 郁子

2021.02.28 【社労士プラザ】
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社会保険労務士法人 合同経営 是松 郁子 氏

 社会保険労務士の仕事は実に多岐にわたる。かかわりのある事業所が輝くために我われは動く。輝きとは何だろうと考えたときに、儲かることしかないと昔は思っていた。だが、それは違う。会社の輝きは社員一人ひとりの笑顔がなければ絶対に作れない。

 合同経営で社労士業務に携わって13年になるが、社員を何より大切にする会社が、安定して利益を得て、結果として「儲かっている」のをみてきた。社員を大切にしなければ、人が入れ替わる度にロスが生じ、2倍の人件費がかかるだけでなく、他の社員のモチベーションや外部からの信頼にも必ず影響が出てくる。

 社労士の業務にかかわるうちに、私の中に芽生えたのは、「個」への目線である。一人ひとりと向き合わずに組織は成り立たないと思うようになった。そんななか、7年前に、代表から「障害年金の仕事をしてみないか」と持ちかけられた。年金については個人の問題なので、通常の顧問先との相談業務としてはあまり取扱いがない。しかし、「個」に目を向け始めた当時の私には、やってみたい分野だった。

 始めてみると、会社の輝きどころか自身が抱える障害のために仕事さえできずもがき苦しんでいる人たちがいた。

 請求の際は、その障害で初めて病院を受診した日の証明が必要だ。古過ぎて初診証明を取れないために請求を断念することもあったが、中には医療機関の担当者が1カ月かけて昔のカルテを探し出し、医師に掛け合って証明をしてくださったおかげで、年金受給につながった例もある。

 最近顕著なのは精神疾患の障害者だ。「年金がもらえるほど悪くない」と、医師に判断され、診断書を書いてもらえない人が多い。私はそのことが残念でたまらない。医師は医師としての判断で診断書を書いて、国は国としての判断でその人に年金を支給するかどうかを決めて欲しい。

 障害年金の請求代行は、儲からない。年金不支給であれば費用を求めないし、支給が決まった途端、お亡くなりになった方もいる。それでも私は、「かがわ障害年金相談センター」と名付けた電話が鳴ると気合いが入る。なぜなら、個が輝いてこそ社会も輝くと思うからである。

 合同経営は地元では最大の社労士事務所になりつつあるが、驕ることなく、一人ひとりの輝きを導く組織をめざしたい。障害年金事業が「儲からない」からといって撤退するのではなく、生きる人全てが社会で活躍できるように今後もサポートを続けたい。また、この事業を通じ自分が培ってきた想いを所員に伝えていこうと思う。

社会保険労務士法人 合同経営 是松 郁子【香川】

【webサイトはこちら】
http://www.kagawa-sn.com/

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令和3年3月1日第3295号10面 掲載

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