ワークルール教育について/弁護士 上田 裕

2016.11.26 【弁護士による労務エッセー】
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3 法案作成の動き

 国会においても、超党派の国会議員で構成される「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟」(非正規議連)が、長期的課題としてワークルール教育推進法の制定を取り上げ、20161月「ワークルール教育推進法検討作業チーム」を設置して、同法案の国会提出を目指して議論を重ねています。

 これには、日弁連の労働法制委員会の委員や連合・日本経団連の担当者からも意見聴取がなされています。そして、参議院の法制局も作業チームに加わるなどして条文の検討がなされています。残念ながら今年の通常国会での法案提出には至りませんでしたが、引き続き、法案提出・成立を目指して進んでいくと思われます。

4 弁護士会としての取り組み

 このような動きの中で、私が所属する埼玉弁護士会でも、労働問題対策委員会(私が現在、委員長を務めています。)を中心に、ワークルール教育を実践を始める取り組みをしています。

 具体的には、県内の高校、大学を対象に、無料で講師を派遣して、①働くにあたって知っておくべき基本的な法律知識、②ブラック企業に就職しないために、③問題が生じたときの対処法といったテーマで学生向けに講演する活動をしています。

 現在、講師派遣を始めて約2年になりますが、少しずつ、問い合わせや依頼が増えてくるようになりました。

 一方で、ワークルールは、労働者だけでなく使用者も理解していなければならないものです。そこで、中小企業・個人事業主の方を対象に、使用者として遵守しなければならないワークルールについてのセミナーを開催もしています。中小企業や個人事業主の方の場合、労働条件・労務管理をおろそかにしてしまうことが多いのが現実ですが、それは後に大きな代償を払うことになることにつながり、労働者ばかりでなく、会社そのものを危険に晒すことを説明することによって、使用者側からもワークルールの重要性を理解してもらう活動をしています。

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