【ひのみやぐら】解体の魅力は安全から

2019.09.26 【社説】
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 「とび・土工・コンクリート工事」から独立し、平成28年6月から単独の業種区分となった「解体工事」。業界の地位向上という所期の目的は依然達せられぬままのようだが、災害を減らす取組みを地道に続けて業界の魅力を向上させたい。“破壊”のイメージが一般的だと思うが、木造住宅が密集する狭隘なスペースで近隣家屋を一切傷つけず、もちろん作業者自身もケガなどしないように行う「職人技」の世界が解体工事――こうした点をもっとアピールしてみてはどうだろう。

 国土交通省の試算によれば、2028年ごろピークを迎える解体工事。前回の東京オリンピック開催時期とも重なる高度経済成長期に作られた橋や道路、トンネルなどの社会インフラの老朽化が進んで耐震強度が危ぶまれており、その修繕が必要なためだ。それら大規模修繕が必要な構造物に限らず、木造の戸建て住宅や、鉄骨・鉄筋コンクリート造の民間建築物の多くも耐用年数を迎えており、解体・改造・補修が必要な時期に今まさに差し掛かっている。すでにその光景を身近に見ることも増えているが、とくに吹付けアスベストを使用した鉄骨・鉄筋コンクリート造の建築物が多く、じん肺の防止目的で石綿飛散対策の必要性が強調される場面が多い。

 一方、やや見落としがちなのが解体作業に伴う墜落災害の危険性だ。明確に「解体工事」とうたっていないビルの外壁塗り替えや木造家屋の屋根修繕、あるいは新設工事でも足場解体といった作業時に墜落して死亡する災害がこれまでにも少なくなく、そうした作業の増加傾向はほぼ確実な情勢にある。人手不足を背景に現場に出る高齢者も増えそうであるため、対策は待ったなしだ。

 今号の別冊付録には、建設業労働災害防止協会の安全衛生年鑑をベースにした労働安全コンサルタント(土木)の考察を収めた。建設業以外の読者でも発注者の立場で何ができるかを考える際の素材として使えるはずであり、是非一読をお薦めしたい。建災防のデータを編み直し、過去10年間でどのような作業を行っている際の死亡災害が多いかがクリアになっており、新たな視点として参考になろう。

2019年10月1日第2339号 掲載

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