配置転換の撤回と嫌がらせの有無をめぐるあっせん事例

2015.12.08 【助言・指導 あっせん好事例集】
  • TL
  • ツイート
  • シェア
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

  • コメント

いじめ・嫌がらせ

申請の概要

 申請人X(労働者)は、電気機器販売業を行う株式会社のA営業所(B県所在)において営業事務員として勤務していたが、9月○日に同社取締役から10月1日付けで本社(C県所在)転勤の内示を受けた。①遠方の本社への転勤はできないことから転勤の内示を撤回してほしい、②入社して以降4年半の勤務期間中に社内で度重なる嫌がらせを受けてきたので今後社内で同様の嫌がらせが起きないよう会社の指導を徹底してほしい、という2点についてあっせんの申請を行った。

紛争当事者の主張内容

申請人X(労働者)

 9月○日に本社への転勤の打診を受け断ったにもかかわらず、10月1日付けの本社転勤の内示を1週間前に受けた。もともとB県で働くことを希望して入社したものであり今後も現在のA営業所で働くことを希望する。

 転勤については内示を受けたその場でも断ったが、現在まで明確な回答を得られていない。

 また、入社して以降4年半の勤務期間中に社内で度重なる嫌がらせを受けた。そのひとつは、半年ほど前、社内で「Xを怒らせると金属バットで殴られるから気をつけろ」といった変な噂が流されたものである。これは、現在A営業所のマネージャーである私の上司が、面白半分で流した根も葉もない冗談だということが後日わかった。

 それ以外にも、マネージャーからはことあるごとに業務上の注意と称して、ひどい罵声や暴言を受けた。他の従業員との接し方と比べてみても明らかに意図的に私のことを差別的にいじめているのは明確であり、今後社内で同様の問題が発生しないよう会社に社員に対する指導を徹底してもらいたい。

被申請人Y(事業主)

 Xの勤務するA営業所は近年業績が悪化しており人員削減が必要となっている。

 Xは、能力的問題から外回りの業務を任すことができず結果として今回のA営業所の人員削減の対象となった。転勤を拒否するということであれば懲戒処分として解雇せざるを得ない。

 嫌がらせについては、調査を行ったが、そのような事実は確認できなかった。

あっせんの内容

 あっせん委員は、紛争当事者双方を対面させた上で、双方の主張の調整を行った。

 あっせん委員はまず、「申請人Xの雇入通知書によると、勤務地については就業規則に従うとされているが、就業規則に基づく転勤命令には正当な理由がないと拒否できない。

 転勤の内示を断った場合は自己都合退職をするのか場合によっては懲戒解雇となることがある」とXに説明。

 また、あっせん委員から個別に被申請人Y側の対応を確認したところ、「Xがあくまでも転勤を拒否するということであれば懲戒処分を行うことになるができる限り処分は行いたくない。ただし、Xはあくまでも自己都合退職であり、会社都合の退職扱いはできない」と回答があった。

 あっせん委員からXに意向を確認したところ、「私は、会社を退職するつもりである。ただし、いじめに関しては事実関係を調査して適切に対応してほしい」と申し立てた。

 あっせん委員から紛争当事者双方に対し、「嫌がらせに関しては再度事実関係を調査し、その結果について申請人に通知する」ということで和解する方向で話し合うよう勧めたところ、双方が受け入れを表明した。

 Xは「本社転勤の内示がされた11月1日の前日である10月31日付けで退職願を提出する」と会社側に約束した。

 Y側は「退職の扱いは、自己都合退職の扱いとするが、嫌がらせの問題についてはさらに事実確認を行い、結果等について申請人に十分説明を行う」と約束した。

結 果

 会社は、申請人Xは10月31日をもって自己都合退職扱いとするが、職場における嫌がらせに関し再度事実関係の調査を十分に行い、その結果をXに報告することで紛争当事者の合意が成立した。


 まず、配置転換については、申請人Xが求めるとおり、被申請人Yが一度行った転勤の内示についてこれを取り消すか否かが、次いで転勤の内示が取り消されない場合の申請人に配慮した円満な退職手続が争点となり、あっせん中の申請人Xの譲歩(退職)により、双方の合意をみた。
 また、職場における嫌がらせについては、申請を受けて会社が行った調査で嫌がらせの事実は確認できなかったとされているものの、Xの希望に対応するため今後会社がどのような対応を採るべきかが争点となり、Xの具体的な指摘に基づき、Yが誠実に調査を行い、その報告をすることで合意をみた。


※この記事は弊社刊「都道府県労働局による 助言・指導 あっせん好事例集―職場のトラブルはどう解決されたのか」(平成24年3月30日発行)から一部抜粋したものです。

関連キーワード:

あわせて読みたい

ページトップ