【主張】次元異なる賃上げ対策を

2019.06.27 【社説】
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 自由民主党の政務調査会・雇用問題調査会は、「雇用は改善、次は賃金!!」と銘打った緊急提言を、根本匠厚生労働大臣に提出した(本紙6月24日号1面既報)。大幅な雇用情勢改善にもかかわらず、賃金上昇に結び付かない現状を打開しようと、早期に地域別最低賃金の平均を1000円に引き上げるべきなどと主張している。

 緊急提言は、半ば力ずくで賃金引上げへ向けた環境を形成していこうとする意図がうかがえる。確かに、完全失業率が2%台前半で推移しているのに賃金が上昇しないのは、予想外の現象だ。ここに至っては、日本経済の先行きを見据え、緊急提言の意図を汲んだ次元の異なる対策を打ち出すべきである。

 完全失業率はこのところ2.3~2.5%を維持しており、雇用情勢改善はほぼ限界点に到達している。賃金水準に波及しない最大の要因は、非正規として労働市場に参入する労働者層が拡大したことが指摘できる。賃金が相対的に低位にある女性や高齢者の非正規パートの比重が高まったことで、総雇用者所得は増加したものの、平均賃金に対してはかえってマイナス作用が働いてしまった。

 今後重要となってくるのは、パートや中小・零細企業に勤める労働者の賃金引上げに焦点を絞った政策である。非正規労働者などの賃金引上げが成功して、全体の賃金水準が高まれば、経済成長は「本物」となり、好循環達成の条件が整うであろう。

 緊急提言では、下請企業が賃上げしやすい環境を整備するため、利益や付加価値の状況、労働や資本への分配の状況を分析・可視化した上で、親企業と下請企業との格差が大きい産業に対し関係法制に基づく指導を実施するよう求めた。2020年代のうちに全都道府県において最賃1000円を実現、さらには国・公共団体が発注した事業における適正な賃金水準の確保なども挙がっている。

 これまでの要請ベースの賃金引上げ対策から一歩進んだ、半ば力ずくの環境整備対策が並んでいよう。好循環達成が日本経済にとって、緊急課題となりつつある。

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令和元年7月1日第3215号2面 掲載

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