今後の社労士業務を考える/日本中央社会保険労務士事務所 代表 内海 正人

2012.12.24 【社労士プラザ】
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 社会保険労務士として、実際の企業の現場で労働関連法令を当てはめようとすると、かなりの無理がある場合がある。「法律は法律」、「現場は現場」と考えて、対応する法律の意味を紐解いてお客様にあった形にカスタマイズすることが、本当の意味でのコンサルティングであると考える。

 しかし、お客様からの情報のみでは問題の本質が探れないケースが多々ある。そんな時は、インタビューのアプローチを変えて問題の原因を探っている。すると、お客様が考える問題点とは全く違うところに答えがあることが少なくない。客観的にお客様の状況を把握し、一緒になって問題の原因を探るのが私たち社会保険労務士の使命である。

 お客様企業が成長過程なのか成熟過程なのかを具体的に区別し、そこで起こり得る問題点を事前に先回りすることも必要である。この対応を行うには労働関連法の知識では足りず、経営の本質やビジネスモデルのあり方等を習得する必要がある。このように考えると、社会保険労務士は毎日が勉強であり、毎日アイデアを生み出さないといけないのである。

 労働保険、社会保険の事務手続き、給与計算の代行、就業規則の作成など基礎となる業務を通じてお客様の企業の特徴や改善点をみつめ、提案すべき事項を洗い出すことで、お客様の先を考えた対応を実行することができるのである。

 士業は競争が厳しいといわれているが、社会保険労務士も例外ではない。既存の業務だけではビジネスとして大きく飛躍することは難しいだろう。しかし、昨今は個別労働紛争件数がうなぎのぼりである。「紛争といえばすぐ弁護士へ」が少し前の常識だったが、その間をつなぐ存在として社会保険労務士がクローズアップされる時代となった。

 新しい価値観の下で社会保険労務士の存在も見直されている。従業員との労務関連のトラブルでは、行政の対応や司法への橋渡しと、一昔前にはなかった業務も現れてきた。雇用のあり方が複雑になり、法改正が毎年行われるこの時代では、「何のために、どんな人材を採用して活用するのか?」ということを企業側もしっかりと押さえなければいけない。そんな中で、お客様企業と一緒に考えることが今後の社会保険労務士のあり方と考えられる。

日本中央社会保険労務士事務所 代表 内海 正人【東京】

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平成24年12月24日第2902号10面 掲載

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