気持ち通わせ紛争防止/木村社会保険労務士事務所 木村 康浩

2024.02.04 【社労士プラザ】
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木村社会保険労務士事務所 木村 康浩 氏

 社会保険労務士になり15年、特定社会保険労務士の受験資格に必要な能力担保研修のチームリーダーを担当して10年になった。

 気付けば所属する東京都社会保険労務士会の社会保険労務士紛争センター長を仰せつかり、支部を超えた同業者と知り合える機会も多くなった。

 近年では働き方改革、同一労働同一賃金、育児介護休業法などの改正が続き、労働環境が複雑になっている。

 個別労働紛争の種類も多岐にわたり、ハラスメントでの争いが増加傾向ではあるが、解雇、雇止め、不利益変更に関する紛争も依然として多い。

 また、顧問先からの相談ではまだ紛争にこそなっていないものの、パワハラ加害者への対応や、従業員のメンタルヘルス不調に関する相談は増加傾向にある。

 紛争の事前防止は社会保険労務士の役割でもあるので、事業主からの相談を聞き、会社の問題点を把握し、日頃からの就業規則の整備、ハラスメント防止を行うことは必須である。

 使用者と労働者の関係は労働契約によるものとはいえ、人と人である。気持ちを通わすことができれば、紛争になるリスクは低くなる。まずは「おはようございます」、「お疲れ様です」、「ありがとうございます」の挨拶からでもコミュニケーションは良くなるので、感謝の気持ちを伝えること、日頃の会話が大事である。

 コミュニケーションが良くなれば離職率が低くなるため、ベテランが多くなり、ボトルネックの減少により、時間外手当の削減につながる可能性もある。

 従来のメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用、成果型賃金への移行を希望する会社もあるが、移行後に賃金が不利益変更になってしまう従業員が必ずいるので、代替措置や激変緩和措置を就業規則に定めて、紛争のないようにすることが大事である。

 また、人事評価制度の仕組みを一生懸命作ったあとは、効果的に運用されることが大切だ。そのためには、評価者の今までの経験だけではなく、本人の資質や研修も大事である。

 従業員の結婚、出産、育児、介護、親族の死亡などのライフイベントもあるので、成果型賃金制度が適用される在職中に、ずっと100%の力で走り続けるのは、メンタル的にも難しい。

 介護離職の防止への支援や、育児休業の取得促進により、ワーク・ライフ・バランスを会社としても応援するとともに、ハラスメント防止を行い、経営者のメッセージが肌に感じられることで、従業員の安心感、定着率が高くなり、ひいては会社の繁栄につながる。

木村社会保険労務士事務所 木村 康浩【東京】

【連絡先はこちら】
〒160-0023 東京都新宿区西新宿8-12-1 サンパレス新宿208
TEL:03-3361-3946

令和6年2月5日第3435号10面 掲載

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