中小の女性活用をサポート/社会保険労務士法人 伊藤人事労務研究所 高田 彩子

2012.10.29 【社労士プラザ】
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 現在の社労士法人に勤務して今年で8年目になる。途中1年間の育児休業を経て一昨年復職した。日常の主な仕事は、顧問先からの労務相談対応だが、同じテーマでも、企業規模や社風、既存の規程や制度、従業員の期待値などベースにあるものが異なり、1つとして同じ答えはない。それがこの仕事の難しさであり、醍醐味でもある。

 労務相談というと、後ろ向きの相談が多いのも事実だが、最近は「社員の健康管理のために全社を挙げて残業時間削減に取り組みたい」といった前向きな内容も非常に多く、中小企業でもコンプライアンス意識が高まってきていることを実感している。

 そんな中で、社員の出産育児に関する前向きな相談も増えてきた。中小企業でも、「出産育児を応援したい」、「女性社員に長く働いてもらいたい」という想いを持っている経営者が実は多いのではないかと思うし、実際にそういった生の声を聞く機会も多い。

 顧問先から、社内で初めての育児休業者が復職するに当たり、勤務時間の設定や仕事の与え方、社内のポジションをどうすべきかといった相談を受けることがよくあるが、中小企業に勤める女性は、まだまだ社内の出産育児のパイオニアであるケースが多い。

 出産適齢期といわれる20代後半~30代前半は、職業人として様ざまなチャレンジをしながらキャリアを積む貴重な時期でもある。この時期に出産する女性社員に対して、暗黙の内に第一線から離脱させてしまうことは簡単だが、長い目でみたときに果たしてそれが会社のためになるだろうか。復職の席を用意するだけでも苦労する中小企業が多いのが実情だが、欲をいえば、限られた労働時間でいかに会社に貢献する仕事をしてもらうか、その社員の10年後を見据えてどのように指導、教育していくかといった広い視点を持ってもらいたいと思う。法令上の義務だからと受け身の姿勢で休業や短時間勤務を認めるのではなく、働き方の1つと捉え、社内でのキャリアアップの道をつくっていく必要があるだろう。

 社労士として、つい目先の課題解決策を提案することに奔走しがちだが、自身の体験も踏まえ、中小企業にも実現可能で実のある女性活用を提言、サポートしていきたい。

社会保険労務士法人 伊藤人事労務研究所 高田 彩子【東京】

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平成24年10月29日第2894号10面 掲載

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