【ひのみやぐら】高齢者のヒューマンエラー

2016.09.08 【ひのみやぐら】
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 産業現場の高齢化が止まらない。近年、人手不足が続いている建設業では、ベテラン労働者を重要な人材としているが、加齢が原因による労働災害にとくに配慮する必要があるとしている。高齢者の労働災害の場合、視覚、聴覚や運動機能などの低下が原因としてあげられるが、ヒューマンエラーによるものも少なくない。その特徴としては「思い込みが激しい」「過去の経験から判断しがち」「頑固で人が言ったことを素直に聞かない」といった若者とは違う傾向がある。

 企業や政治の指導者層の高齢化が進み、円滑な世代交代が行われず、組織の若返りがはばまれる状態を「老害」というそうだが、若者が古い文化や考え方を押し付けられたときにも使われることがある。この老害と呼ばれる人の特徴として、「自分に自信があるために自説を変えない」「古い価値観を押し付ける」「せっかち」などがあるが、ヒューマンエラーの原因と重なるところがある。

 なお、今は若者でも、いずれは年を重ねることになる。そのとき、次の世代からは「老害」あるいはそれに類似する新語で揶揄されているのではないか。いつの時代も世代間の意識乖離があるものなのだ。話が脇道にそれた。

 ただ、労働災害の原因としての「思い込み」や「話を聞かない」ということであれば、放置していくわけにはいかない。事前に要因を取り除き、対策を立てる必要がある。

 大成建設では、「ベテランだって油断は禁物!」と題した安全教育動画を制作し、現場の教育に活用している。ビル建設現場で働く66歳のベテラン職人を主人公に、ヒューマンエラー事例を映像で分かりやすく紹介している。

 主人公は、アンケートに嘘を記入、近道行為で立入禁止エリアに侵入、職長の指示を無視するなど、意図的に違反を繰り返す。最後は大変な事態となるのだが、ここは特集Ⅰに預ける。教育動画では、ベテランであっても慣れない現場では初心に戻り、ルールを正しく守ることなどを訴えている。 

 高齢労働者のヒューマンエラーの傾向を知り、しっかりと対策に生かしたい。

平成28年9月15日第2266号 掲載

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