【主張】最賃目安額提示に響く環境悪化

2012.08.06 【社説】
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 恒例の真夏の闘いが佳境を迎えている。毎年の最低賃金目安額を決める厚生労働省の中央最低賃金審議会での労使のやりとりのことである。このところ、両者の合意による成立は姿を消し、公益委員の目安額提示によって、決着するといういびつな形で終始しているが、今年も相当荒れそうである。賃上げ闘争は生活給の増額から、単年度洗替えの一時金による決着に舵を切りつつあり、大きな変化をみせている。これに対し、最賃は、10年に開かれた政労使の代表で構成する「雇用戦略対話」で、引上げ目標として「できるだけ早い時期に全国平均800円を確保し、景気状況を配慮しつつ全国平均1000円をめざす」合意を背景に、毎年のように積み上げられており、せっかくの合理的な分配方式に影響を与えかねない状況になってきた。

 全国41地域の経営者協会は、先手を打って厚生労働省に対し、同対話にある前提条件の「名目3%、実質2%」達成という経済実態を踏まえた議論が必要と訴えた(本紙7月9日2面参照)。

 やっかいなのは、09年の改正がここにきて多大な影響をもたらす事態が生じてきたことである。改正の眼目の1つである生活保護との整合性がそれだ。最賃法第9条第3項に「労働者の生計費を考慮するに当たっては、健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性を配慮するものとする」と規定された。7月10日に開かれた中央最賃審・小委員会で、昨年の最賃改定時前に生活保護の給付水準を下回っていたのは3道県だったものが、その後の社会保険料の増加によって、8都府県増えたことを明らかにした。これを受け、政府は働く意欲を削ぎかねないと懸念し「逆転の早期解消を図る」意向を示している。

 生活保護の受給者は、高齢化によって急増しており、不正受給も多くの報道機関が取り上げている。憲法第25条で定める「生存権」の問題とはいえ、それを一般企業に押しつける違和感を拭いきれないまま、今年の目安額がどうなるか。「結論」を迎えるのが怖い環境となった。

平成24年8月6日第2883号2面 掲載

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