【主張】日航乗務員の整理解雇は正当だ

2012.06.04 【主張】
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 経営再建中の日本航空は、昨年に引き続き平成24年3月期連結決算で、営業利益が過去最高の2049億円となった。やはり、過去最高だった昨年同期も1884億円の営業利益を上げ、一昨年の1208億円に上った赤字体制から、完全に脱出したようにみえる。昨年の営業利益急回復をみて、後出しジャンケンのように、整理解雇されたパイロットと客室乗務員の一部が解雇無効を訴え、東京地裁は今年3月29日に前者、30日には後者に、いずれも請求棄却の判決を下したが、日本共産党などの支援組織は「会社の主張を鵜呑みにした不当判決」と非難している。果たしてそうか。

 パイロットの解雇選定基準は、機長55歳以上、副操縦士48歳以上のベテランが対象。日航は一昨年1月に会社更生法の適用を申請し、約1万6000人の人員削減を含む更生計画が東京地裁に認可されている。この一環として同年末に乗員81人、客室乗務員84人を整理解雇したが、これが整理解雇の4要件に適合せず、不当と訴えたもの。4要件は、①人員削減の必要性②解雇回避の努力③対象者選定の合理性④手続きの妥当性だが、人員削減について日航本体で1500人の希望退職を募ったところ1700人もが手を上げているところからみても、社員に沈没する前に逃げ出そうという機運が醸成されていたのは確か。ベテランに絞ったのは年収2000万円を超える高給を支払える体力がなかったから当然だ。

 最近、重大事故が多発し問題になっている大型自動車運転者の給与は、最も高いけん引で37万円強。それも歩合給など変動給と固定給は、ほぼ半々である。操縦で一番緊張するのは、離陸・着陸のほぼ30分程度という。法違反すれすれの長時間運転を強いられるトラック運転者の5倍以上は貰い過ぎだろう。

 好調な営業利益だが、今後は、格安航空会社との競合や燃料高騰によって確実に下降線をたどろう。瞬間風速的な収益をみて、不当解雇というのはまさに後出しジャンケンそのものと思う。その意味で東京地裁の請求棄却は、正当な判決と評価したい。

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平成24年6月4日第2875号2面 掲載

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