現代に適した労働時間制度を/テラダ労務経営プランニング 所長 寺田 美津司

2016.06.22 【社労士プラザ】

 社労士の仕事に携わり、常々疑問に思っていることがある。それは「賃金」を「時間」で定めている点だ。現在の東京都地域別最低賃金は1時間当たり907円。法定労働時間を超えれば割増賃金が必要となる。

 第一次・第二次産業が中心の高度成長期であれば理解できる。たとえば製造業。始業のベルで生産ラインに入り、10時のベルで一斉に休憩。その時間でトイレに行ったり一服したり…。休憩時間が終わるとまたラインが動き出し作業開始。ラインが動いている時間に対して製造される産業であれば、賃金を時間で定めることも納得がいく。

 第三次産業の比率が高まった現代、たとえばサービス業の営業職はどうだろう。タイムカードを押した後、お茶を飲むのも自由。就業時間内にトイレに行くのも、タバコを吸うのも自由。労働時間に比例して成果が上がるとも限らない。

 労働基準法は戦後間もない頃に制定され、根本的な改定はない。賃金を時間で計ると、一つの仕事を一生懸命早く終わらせるより、のんびりやった方が賃金が高くなる。正直者が馬鹿をみることにもなりかねない。

 ホワイトカラーエグゼンプション(労働時間規制適用免除)を初めて導入しようとしたのは第1次安倍内閣の頃だ。「年収900万円以上」等の要件を付けたにもかかわらず、野党からは「残業代不払い法案」と反発され、国民にも不安が広がった。法案成立をめざすも、未だに成立していない。もちろん、長時間労働を助長するモノであってはならないし、残業代をゼロにするための法案でもいけない。

 当事務所の賃金体系立案のキャッチコピーは「業績UP&やる気UPの賃金体系の立案」だ。成果の上がらない残業は減らし、早く帰ってゆとりある生活を送っても成果に対して相応の賃金を得られる仕組みだ。

 昨今、「未払い残業代請求」を業とする専門家も増えているのも事実。企業が法律を守らず長時間労働させ、残業代未払いのケースもあるだろう。しかし、最初から未払い残業請求を狙って企業を転々としているようなケースもあると聞く。このような労働者がいるとすれば、真面目に働く労働者の敵ともいえる。労使双方の立場からも、より現代の働き方に適した労働時間法制が成立することを望む。

テラダ労務経営プランニング 所長 寺田 美津司【埼玉】

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掲載 : 労働新聞 平成28年6月20日第3069号10面

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