【ひのみやぐら】〝褒める〟安全文化

2018.05.09 【社説】
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 ホーソン実験をご存知だろうか。米国シカゴ郊外にあるウェスタン・エレクトリック社の電気部品組立工場(ホーソン工場)で1924~1932年に行われた調査だ。当初は、物理的な作業条件と作業員の作業能率の関係を分析する目的で開始された。手元が暗いと細かい手作業は難しくなると考えられる。暗い照明で作業速度がどの程度落ちるかを計ってみたのだが、想定とは逆の結果となった。暗いほうが速度が上がったという。

 理由は、作業員は実験者に注目されながら作業をしたため、普段以上に頑張ったことだった。作業員の作業能率は、客観的な職場環境よりも個人の人間関係や目的に左右されるという結果が導き出された。注目を浴びることで、作業員のパフォーマンスが上がったわけだ。ホーソン工場で行われた実験であることから、ホーソン効果と呼ばれている。

 大雑把に括れば、要は人は人に認められれば、仕事への意欲が上がるということだろう。自分のよいところを人に見てもらえれば、やる気へとつながる。さらにいえば、褒めればもっと頑張れる。結果的にそれが、生産性向上に寄与することになる。100年近くも前の分析かもしれないが、人が人を認め合うことで、組織の雰囲気がよくなり、大きな効果をもたらすという点は普遍的なものではないか。

 生産性だけでなく災害防止も同じことがいえる。東レ㈱千葉工場の三木誠人工場長は「褒められることで達成感がやる気へとつながる」といい〝褒める〟安全文化を強みとしている。象徴的な活動として「気(樹)になるパトロール」や「赤ヘル〝対話〟パトロール」が挙げられる。何でも言い合える相互対話型の巡視だ。

 また、一人ひとりの声を尊重して、要望や提案に応える姿勢を重視。事務所内の壁紙の張り替え、工場内トイレの改装など職場環境改善を図ったことで、従業員のモチベーションアップにつながった。工場長や管理職は朝のラジオ体操などでコミュニケーションをとり、風通しのよい職場づくりを進めている。

 “褒める”安全文化は、災害に強い組織をつくる。

平成30年5月15日第2306号 掲載

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