【ひのみやぐら】災害事例を他山の石として

2018.02.23 【社説】

 「他山の石」という言葉がある。中国最古の詩集にある「詩経」に由来するそうで「よその山から出た粗悪な石でも、自分(宝のとなるもの)を磨く砥石として利用できる」ということだが、噛み砕いていえば、他人の失敗や誤り、劣っている言動を他人事とせず、自分の戒めとする場合に使用する。このような、他人の間違いを自分の成長につなげるという言葉には「殷鑑遠からず」「前車の覆るのは後車の戒め」「人の振り見てわが振り直せ」など数多い。

 労働災害は、非常に辛い悲しい出来事であるが今後、再発防止対策を構築するためには欠かせない「石」だ。将来起こるかもしれない事故を未然に防ぐには、過去に起きた労働災害から原因を的確に分析し、そこから得られた対策を着実に実施していく必要がある。

 労働災害が発生した場合、被災に至るまでの詳細な状況を解きほぐし、真の原因を把握する努力をし、安易に労働者の「うっかり」「不注意」という原因に落ち着くことのないようにする。原因が曖昧なままでは、事故を起こした被災者に対して報いたことにならないからだ。

 分析を終えた労働災害事例はさまざまな場面で活用されている。安全衛生教育の場はもちろん、朝礼やKYT、新規入場者に対してなど用途は幅広い。ユニークな使い方としては、労働者が目につきやすいトイレに起きたばかりの災害事例を貼っておくという建設現場の取組みを取材したことがある。

 今号、特集1で紹介する名工建設は災害事例を上手に安全衛生活動に活用する企業のひとつ。事故の型やキーワードで絞り込みができる「過去事象記録検索システム」を構築し、過去10年間に経験した事故・災害事例をデータベース化している。事例には、事故を再現した写真を付け、事故の原因、結果とともに「教訓」も示す。必要な対策を現場の皆で考えて、対策を講じていくことにつながり、安全のレベルアップになったという。

 労働災害やヒヤリ・ハット事例は貴重なデータであるのはいうまでもない。トラブル事例は、見逃すことなく「他山の石」として役立てたい。

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掲載 : 安全スタッフ 平成30年3月1日第2301号

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